2019年6月20日。
「渋谷をつなげる30人」 4期が、初めて渋谷に集結しました。
企業、NPO、行政、市民、それぞれのセクターを超えて集まったこの30人で、これから約10ヶ月をかけて、「渋谷をつなげる30人」のプロジェクトに挑みます。
「渋谷をつなげる30人」というのは、渋谷区が20年後の未来を見据えて策定している基本構想の総合テーマ「ちがいを ちからに 変える街」を目指し、地域の企業、NPO、市民が一緒になり、区と連携しながら課題解決に向けたビジネスモデルを10カ月かけて立案・実行する取り組みになります。
本記事では、全部で8回ある集まりの中、記念すべき1回目の様子をお届けします。それでは、どうぞ。
問いの重要性
Day1。
この日初対面同士のメンバーは、積極的にコミュニケーションを取っており、あっという間に会場はメンバーの元気な声で溢れていました。
皆、緊張感が感じられる表情で、これから一緒にプロジェクトへ挑む仲間たちと名刺交換をしていた姿が印象的。
10時になると、早速スタート。
初日は、お互いの自己紹介や、「渋谷をつなげる30人」の概要説明、最後には肝である“ファシリテーション”の技術を学びます。
本プロジェクトのディレクターである、加生さんより、そもそも「渋谷をつなげる30人」とは何か?という話から始まります。
その話の中であったのが、「問いの重要性」。
『提起者の想いがあふれる「パワフルな問い」は、新たなステークホルダーを招き⼊れることができる。』
問いをどこに設定するかで、そのプロジェクトがどう進んでいくか?成功するのか?が大きく左右されるとのこと。問いを設定することに、大きく時間を使っていくのが、このプロジェクトの1つの特徴だそうです。
例えば、「スマホを売るにはどうすればいいか?」という問いだと、既存のスマホ業界の人にしか興味を持ってもらえません。しかし、抽象化し「家族の絆を強くするにはどうすればいいか?」このような問いを置くと、スマホ業界に囚われないステークホルダーが参画してくれるようになります。
問いを変えるだけで、そのプロジェクトの可能性が大きくなる。今後、プロジェクトを生んでいく中で必要となる視点でした。
「渋谷をつなげる30人」を通じて起こる変化とは
昨年、本プロジェクトで生まれた「落書き消しプロジェクト」の事例を紹介。
渋谷にはたくさんの落書きがあります。
その落書きは、区の条例で所有者しか消すことができないという縛りがありました。その縛りの中だと、渋谷区だけではできることがあまりなく、落書きをなくしていくことが厳しい状況だったのだそう。
その問題を解決したのが、「渋谷をつなげる30人」。紆余曲折ありながらも、多々あったハードルをひとつひとつクリアしていきました。現在では、法人化も行ない、多くの落書きと向き合って活動しています。
この活動の過程で、メンバーの1人である、ビームスの中村さんは自身の大きな変化を感じたそうです。
中村さん
『私は落書き問題を考える取り組みに参加をしていましたが、私⾃⾝が最も変わったと思っているのは、最初はこの活動を通じて⾃社の利益になることは何かを考えていたのが、最後には⾃分の会社(⽴場)を使ってどのようにすればこの活動を⾯⽩いものに出来るかと考えるようになっていたことです。⽂字通り「つながる」から「つなげる」に意識が変わっていったことが、私の中での⼀番⼤きな変化と⾔えます。』
なぜ、「渋谷でつながる30人」ではなく、「渋谷をつなげる30人」なのか?その意味はここにあります。ここに集まった30人がつながることが大事なのではなく、この30人が“つなげていく”のが、重要なのです。
それができる人財こそ、本プロジェクトが目指す「イノベーター人財」。
では、どのようにつなげていくのか?
そこで“ファシリテーション”の出番というわけです。
“つなげる”ためのファシリテーション
ファシリテーションは、人との「対話」を促し、進行していく役割です。では、そもそも「対話」とはなんなのでしょうか?
人とのコミュニケーションには、大きく3つの分類にわけられます。
・会話 楽しむための⾔葉のやりとり(相⼿との関係性づくり)
・対話 特定のトピックに関して、お互いの意⾒の違いを理解し合うもの(相⼿との相互理解)
・議論 考え⽅をぶつけ合いながら、⼀つの答えを出して⾏くもの(相⼿を打ち負かす)
相互理解するためのコミュニケーションが、「対話」ということですね。その対話を有効に進めていくにあたって、大事になるポイントが全部で4つ存在します。
1. 問い(何について話すか)
2. 想い(なぜそれが⼤事なのか)
3. 参加者(誰と誰が話すか)
4. ⽅法論(どうやって話すか)
今回は、その中でも方法論について、学んでいきます。
紹介する方法論は、全部で8つ。
それぞれの方法論について、細かく見ていきたいところですが、これはまた後日ということで。
ファシリテーションの一番基本となる部分を学んだ30人。彼らからは、研修を楽しみながらも、一つでも多くのことを学ぼうとする、積極的な姿勢が伺えました。今後、このスキルを活かし、自分たちがファシリテーターとして活躍していくことになる、その時を見据えているようにも見えました。
最後に
あっという間に過ぎていったDay1の時間。
初めは緊張していた表情も、終わる頃には朗らかなイキイキした表情へ変わっていました。
メンバーからは、「これからが楽しみ!」という声が多々聞こえてきて、その声にはエネルギーが満ち溢れていたように感じました。
まだまだ始まったばかりで、きっと普段の会社では感じられないような体験ばかりがこの先待ち構えていると思います。それを続けた先に、メンバーがどう変化し、その結果、どのようなプロジェクトが生まれるか?僕自身とても楽しみでなりません。
文章:「渋谷をつなげる30人」 コミュニティマネージャー 長田
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