未来Lifeセッション 「『住』から創る未来(第二回)」
セッションの目的
20年後、私たちの暮らしがどのようになっていると嬉しいのでしょう?自分自身や、大切に思う誰かの暮らしを想像しながら、それを取り巻く世界を様々な視点で共有し、ありたい姿を考えるのが未来Lifeセッションです。
今月のテーマは「『住』から創る未来(第二回)」。そして、サブテーマを「木×ICTでミラクルをおこそう」として開催します。
今回のインスピレーショントークは、NEC事業イノベーション戦略本部デザインセンター 長田純一さん。ICTを活用して木と人が会話するワークや、そこから拡がる未来の暮らしなど、デザイナーの視点から木×ICTの活用について様々なお話をいただきます。
20年後の ありたい未来を探りつつ、創造力と想像力を刺激するワークを楽しみながら、普段見えない何かを見つけ、未来Lifeへの行動のヒントをお持ち帰りください。
開催終了
インフォメーション
- 開催日時
-
2017/02/08 (水)
18:00 ~ 20:30 - 応募締切日時
- 2017/02/07 (火) 10:00
- 会場名
- NECソリューションイノベータ本社ビル
- 住所
- 東京都江東区新木場1-18-7
- > google mapで表示
- 定員
- 20 人
- 参加費
- 無料
- 備考
参加ご希望の方は、事前アンケートのご記入をお願いしております。入館手続きに必要な情報となりますので、ご理解のほど何卒よろしくお願いします。
尚、参加希望多数の場合は抽選とさせていただきます。
[個人情報に関する取り扱い]
ご提供いただいた個人情報は、当社の個人情報保護方針に基づき、適切な管理に努めております。
- 主催者
NECソリューションイノベータ株式会社
経営企画部 CSV推進室
■セッションの目的
20年後、私たちの暮らしはどうなっていると嬉しいのでしょうか? 自分自身や、大切に思う誰かの暮らしを想像しながら、それを取り巻く世界をさまざまな視点で共有し、ありたい姿を考えるのが未来Lifeセッションです。
今月のテーマは「『住』から創る未来(第二回)」。そして、サブテーマを「木×ICTでミラクルを起こそう」として開催します。
今回インスピレーショントークを行っていただくゲストは、NEC 事業イノベーション戦略本部デザインセンター クリエイティブマネージャー 長田純一(おさだ・じゅんいち)さん。長田さんから「木と話す、木が話す!?」という興味深いテーマでお話をしていただきます。自由に未来を描くための方法について、何かヒントがつかめそうなお話のようです。
そして、もう一人のインスピレーショントークのゲストは、NECソリューションイノベータ イノベーション戦略本部IoT戦略室長 羽田亨(はだ・とおる)さん。ICTの視点から、「木とのコミュニケーション」をどうとるのか?というテーマに向けて、「ワイヤレス給電」のお話をしていただきます。こちらは、自由に描いた未来への想いを現実にしていくというお話です。
20年後の“ありたい未来”を探り、”創造力”と”想像力“を刺激するワークを楽しみながら、普段見えない何かを見つけ、未来Lifeへの行動のヒントをぜひ持ち帰っていただきたいと考えています。
■20年後の未来についてオープンに語り合う場
2017年2月8日、NECソリューションイノベータ株式会社主催の対話&ワークショップ、未来Lifeセッション「“住”から創る未来(第二回)」が開催されました。そのレポートをお届けします。
開催場所は、東京都江東区の新木場にあるNECソリューションイノベータ本社ビルのお客様サロン。当日は寒い一日となりましたが、会場は、立場も年齢も、そして業界も異なる多様な方々が20名以上集まり、熱気に包まれていました。
NECソリューションイノベータは、NECグループが展開する社会ソリューション事業をICTで担う中核ソフトウエア企業として、さまざまな社会課題の解決を目指しています。近年特に力を入れているのが、幅広いステークホルダーとの“共創”に関する活動であり、この未来Lifeセッションもそのひとつとのことです。
今月のテーマは「“住”から創る未来」、そして今回のサブテーマは「木×ICTでミラクルを起こそう」。一体どのような“住”の未来がこのセッションで描かれるのでしょうか?
■未来を描くためのルール
活動趣旨とビジョンを説明する小橋さん
はじめに、NECソリューションイノベータ 経営企画部 CSV推進室 マネージャー 小橋良匡(こばし・よしまさ)さんから「未来Lifeセッション」の活動趣旨やビジョンについてのお話がありました。その後、本日のファシリテーターである同社の角野幸子(かどの・さちこ)さんから、ワークショップを楽しむためのポイントについて、説明がありました。
本日のポイントを説明するファシリテーターの角野さん
「今日はぜひ、未来思考で対話をしてください。日々の生活や課題は横に置いて、イメージをどんどん広げていきましょう」(角野さん)
そして、角野さんからセッションをより深めるためのルールとゴールが示されます。
・本日のセッション 5つのルール
1.未来人である(誰も間違っていない!未来は可能性に満ちている)
2.主語は自分(私はどう思う?どうしたい?)
3.協働・共創(参加者全員で創りだす)
4.守秘義務(秘密リクエストは伝える、守る)
5.楽しむ(つながりや新しい価値は楽しい場から生まれる)
6.(空欄)
・本日の2つのゴール
1.普段と違った視点を得る
2.関心を持てるテーマを得る
「ルールは5つ記載していますが、6つ目は空欄にしてあります。もしこんなルールがあればいいと思えば付け足してください。そして、ゴール。楽しいセッションになると思いますが、『ああ、楽しかった!』で終わらせず、しっかり2つのゴールを持ち帰り、何か新しい事業のヒントにしてください」(角野さん)
セッションのポイントとゴールがしっかりと共有されたところで、いよいよワークショップが始まります。まずはペアでの対話によるウォーミングアップからです。
■ペア対話によるウォーミングアップ
まずはお隣の方と二人一組になったところで、角野さんより3つの「問い」が投げかけられます。
対話のウォーミングアップスタートです
問1:「“住”と聞いて何を思い浮かべましたか?」
“住”というキーワードで参加者にとって何がフォーカスされるのでしょうか。はじめての相手と対話して、ウォーミングアップしていきます。
みなさん、思った以上に対話がはずんでいるようですね
問2:「大切な人を誰かひとり思い浮かべてください。その人が20年後にどこでどんな家でどんなふうに“住”んでいてほしいですか?」
20年後という未来に思いを馳せながら、家族や遠く離れて暮らしているご両親などを思い浮かべる方も多かったのではないでしょうか。
そして3つ目の問いは、本日のテーマに直結することです
問3:「『木とコミュニケーション』。ここからどんなシーンを思い浮かべますか?」
参加者のみなさんは、スムーズにペアを組み、はじめての相手とも対話を行い、多様な意見に触れることができたようです。ここまでのイントロダクションによって、だんだん“住”と“木”というテーマが「自分ごと」になってきたようです。
■木と話す、木が話す!?(インスピレーショントーク1)
今回は2名のゲストから、インスピレーショントークがありました。
一人目はNEC 事業イノベーション戦略本部 デザインセンター クリエイティブマネージャー 長田純一(おさだ・じゅんいち)さん。長田さんは「よく“NECっぽくない”といわれているんです」と微笑みながら登壇します。
長田さんからはクリエイティブな雰囲気が漂います
長田さんは、まずご自分の経歴を語ります。美術大学での卒業制作で「産学協同研究」の「鉄道」に関わったこと、また、葛西臨海水族園で情報システムの構築に関わったことなどを話します。そして、現在も美術大学でロボットについて教えているそうで、クリエイティブな背景を持っていることがわかります。
「NECでは『PaPeRo』というロボット、そのデザイン、コミュニケーションを開発していました。最近は、市場や現場を見て未来を考える、ということをやっています」(長田さん)
そして本日のインスピレーショントークでは、特にロボットのデザイン、コミュニケーションを開発していた時のことについて話したいと長田さんはいいます。
「その時に、“人とロボットの関わり”を考えることに価値があるんだな、と考えつきました」(長田さん)
長田さんが「ロボットについて考えてみよう」と学生たちに投げかけると、ロボットとは何だろう?そもそも人とは何だろう?というところに考えが及んだそうです。おもしろいですね!この問題を深堀りし過ぎても、きりがなく大変なので、長田さんは「しゃべる」というところに限定したとのことです。
「人工物がしゃべること。“しゃべる人工物”と人とはどんなコミュニケーションをとるんだろうと考えていったわけです。身の回りのモノがしゃべったらどうなるのだろう?」(長田さん)
長田さんによると、美術大学というところは、机の上で考え込むのではなく、体験しながらアイデアをふくらませることが多いとのこと。これはとても参考になりますね。
例えば演劇的に“郵便ポスト”を考えたりします。アドリブで寸劇をしたりしてみる。そうすると、相手が立ち去ったら郵便ポスト”が追っかけてきて『あのね~』と話しかけてきたり。そうやってアイデアをふくらませていきます」(長田さん)
寸劇で表現しながら考えるなんて方法論があるのですね!
長田さんはこのロボットのプロジェクトに2001年ぐらいから加わり、学生たちと研究開発していたのですが、ロボットという形にこだわらず「何かモノにくっつけてしゃべらせると、それがロボットになるんじゃないか」という発想が、学生たちから出てきたそうです。
動画を紹介する長田さん
「今でいえばIoT(モノのインターネット)ということなんでしょうが、当時呼び名はなくて、いうなればRFIDでしたね。その時に、何にでもくっつけてしゃべらせる『オカティ』名前のRFタグを登場キャラにしたストーリーを考え、使うシーンをイメージした動画を作ったので、見ていただきたいのです」(長田さん)
長田さんが紹介したプロモーションビデオは、偶然にも新木場を舞台にして、ゴミがどこに行くんだろうとある人が考えるところからスタートします。そこで『オカティ』をゴミにくっつけ、その人が夢の島までに導かれるという架空のストーリーです。
『オカティ』は色んなものにくっつき、くっついたものによって声が変わりながら、色んなことを話しかけてくれます。例えばバス停の時刻表がしゃべって案内してくれたりするのです。
参加者からは「これ、あるとホントに便利じゃないか」などという声も上がったりしました。インスピレーショントークならぬ、インスピレーションムービーになっているようですね。
夢の島の場面では、捨てたゴミがリサイクルされてここにいるんだ、土の中にいるんだよ、と主人公に話しかけてきました。動画によって、製品の機能的な価値だけでなく、その楽しさもわかり、イメージされた世界観がよく理解できました。
次に長田さんは宇宙から来た生物がAR(拡張現実)によって見えるという、今でいうポケモンGOのような動画作品を紹介してくれました。こういう説明も、言葉だけではわかりづらいですが、動画で見るとイメージしやすいですね。
映像と音、五感で世界観が共有されます
「今までお見せしたものは、だいたい15年前、そして今15年たつと、想像していたようなことが現実に起こり得ているわけです。そうすると、今作った最新作が15年後には現実になっているかもしれません。時間大丈夫ですか?じゃあ、見てください」(長田さん)
作品は、調剤薬局で長時間待たされるのを何とかしたい。そこで、会計したら「空飛ぶクマさん」がドローンのように運んできてくれる。生活者にとって、なかなか切実なテーマですが、とても楽しい動画で表現しています。
「話を戻しますが、動画でお見せしたように“モノ”と会話すること。それは手段にとどまらず、そのこと自体が価値を持つのではないかと思います。それでは、これでインスピレーショントークを終わりにしたいと思います」(長田さん)
参加者の発想力の幅を広げていただいたインスピレーショントークのゲスト、長田さんに拍手が送られました。
■自由な発想を助ける「ワイヤレス給電」(インスピレーショントーク2)
「今のお話は想像をふくらませていただきましたね。しかし20年後といわず、数年で実現できるような技術というものが、すでにあるのです。“モノ”にくっつけて“モノ”とコミュニケーションをとる。想像から現実に立ち戻った時どうする?というのはよくありますよね……。次のインスピレーショントークでは、想像を現実にできる技術のお話をしてもらいます」(角野さん)
二人目のゲストは、NECソリューションイノベータ イノベーション戦略本部IoT戦略室長 羽田亨(はねだ・とおる) さん。羽田さんがいろいろな企業さんの事例を見学した中でこれは面白い!と感じたのが株式会社ビー・アンド・プラスの「ワイヤレス給電」だそうです。今回は同社の許可をとって紹介させていただきました。
ワイヤレス給電の技術について語る羽田さん
「私はIoT関連のビジネスを担当しているのですが、その中でビー・アンド・プラス社さんと仲良くなりました。同社の技術がおもしろくて、ここで私が説明させていただきます。さっき角野さんが言っていたように、自由な発想をしている時に“パワーサプライ”、つまり給電をどうするってことが、よく障害になっちゃうんですよね」(羽田さん)
羽田さんによると、今回ご紹介する給電の技術は、人を“発想のしばり”みたいなものから、解放するということです。給電、つまり電気を送るって、送る側と送られる側が接続されていないとダメなように思えますが、ワイヤレス給電とはそんなことはなく、離れていても、例えば間に木とかがあっても大丈夫で給電することができる、と羽田さんはいいます。感電とか大丈夫なんでしょうか?
「体にくっつけても大丈夫なんです。それを今から実演します」(羽田さん)
ワイヤレス給電のデモを行う羽田さん
羽田さんはいくつかLEDの電灯がついた円盤状のツールを取り出し、角野さんや参加者の協力を得てデモを始めます。
円盤のようなもの同士、離れていても、電気が送られて明かりがつきます。間に仕切りを入れてもちゃんと点灯します。円盤を横にしても点灯します。もちろん、持っている人たちは何にも問題ありません。まるで手品のようです。
「アミューズメント分野で使われても、けっこうおもしろいと思いますよね。ワイヤレス給電によって、自由な発想を実現できる機会が増えるのではないかと思うのです。どうもありがとうございました」(羽田さん)
参加した人たちにとって、「実際にやってみると理解しやすい」ということがよくわかるインスピレーショントークでした。
■チームを作ってプロトタイピング
お二人のインスピレーショントークにぐっと引き込まれた後は、参加者の想いを形にしていくワークに入ります。関心があるキーワードでチームを作ったところ、4~5人で一組のチームが5つできました。チームで想いを共有し、「未来新聞」を作っていきます。
しかも、今回はインスピレーショントークで実感したこと。つまり、「実演するとわかりやすい」「やってみると理解しやすい」の実践がお題に加わりました。未来新聞の発表時に寸劇をしてもらいます。その際に、「木」の役を決めることがルール。寸劇では昔の学芸会の時のように誰かが、「木」の役をつとめなくてはなりません。
このお題に、参加者からは「えー!」という困惑の声が上がりますが、ともかくもワークがスタートします。
なごやかに、しかし真剣にテーマについて話し合います
ゲストの長田さんからもアドバイスをいただきます
■未来新聞の発表と寸劇タイム
いよいよ、各チームが考えた20年後の未来を表す「未来新聞」の発表タイムです。普段と違い、今回は寸劇を行わなくてはなりません。しかし、みなさん戸惑いながらも短い時間でアウトプットを作れています。みなさんの熱演が続き、会場が沸きました。
1.未来新聞「記憶でつながる公園」
「そもそも、人は公園にどんな気持ちで行くのか? 20年後には公園の木が街の記憶をつかさどる、そんな公園があってもいいんじゃないかと話し合いました」
「木の役」と語り合う寸劇がはじまります。「昔はいじめられて私のかげで泣いていたよね~」「どうしてそんなに疲れてるの?」などと木の役と語り合います。
何かロマンチックなタイトルですね!
寸劇では会場が笑いに包まれます
2.未来新聞「極上の木の家具と暮らす幸せな生活」
「私たちは家具がテーマです。木の家具が、住む人の健康管理だったり、安全・安心を見守ったり」
寸劇がはじまります。「お腹すいたな~。餃子とラーメンにビールかな」「もうちょっと野菜食べた方がいいよ」「レシピ教えて」などと人とテーブル役が語り合います。
家具をテーマにした発表です
「テーブル役」や「イス役」など凝った寸劇が披露されました
3.未来新聞「木の建物は安心できる友達!」
「私たちは木の建築をテーマにしています。安心と癒やしを備えた存在感のある木造建築。木造建築の家の回りには人が集まってくる生活をイメージしました」
コンクリート建築の家と、木造建築の家とが語り合う寸劇です。「君たちはのっぽだけど温かみがなくて何かつまんないよな~」発表者の熱演に笑いがこぼれました。
「木の建物は安心できる友達!」…「癒やし」をイメージしたタイトルですね!
発表に力が入りすぎ、寸劇はほとんどアドリブで……。
4.未来新聞「協働する街路樹」
「IoTになるのかもしれませんが、木の考えていることが人間に伝わり、人間も自分の思いを木に伝える、そんな街路樹が未来には作られているのではないかな、と思います」
寸劇がはじまります。「木の役」の方たちの熱演で、人と木のコミュニケーションがイメージできました。
街路樹が話しかけてくるそうです
寸劇では「木の役」の方たちが熱演
5.未来新聞「1000年を迎えた ふる里の森」
「植林するとき、最初からマイクロチップなどを木に埋め込み、木と誰かがペアを組みます。そして、木と人がお互い成長しながら、コミュニケーションを続けていくということをイメージしました」
寸劇は、植林して100年が経ち、先祖のことを思い出しながら木と語り合うという情感たっぷりの物語です。そして、この発表した未来新聞は、「植林から1000年が経ったことをお祝いする内容の記事」という説明に、会場がうなりました。
20年後どころか1000年のスパンの物語です
「成長する木」、寸劇で熱演中です
■さいごに
今回のサブテーマは「木×ICTでミラクルを起こそう」でしたが、短い時間の中でも、参加者同士が協働して、ユニークなアウトプットを生み出せたことが驚きでした。
そして、何といっても今回のハイライトは各チームの「寸劇」。普段デジタルツールで考えることの多い私たち社会人には、新鮮な気づきがありました。また、それはインスピレーショントークの影響が大きかったように思います。
そしてセッションは終了。参加者はそれぞれのゴールと、主催者(NECソリューションイノベータ)が準備したバレンタインの贈り物を持ち帰ることができました。また次回のセッションが楽しみです!
(取材:藤木俊明)