ナゴヤをつなげる30人 Day.2
Mission
大規模災害などを契機として、地域の助け合い・支え合いといった関係の重要性が再認識 され、日頃からの住民同士の関係づくり、また、そのきっかけとなる地域活動に注目が集まっています。
より住みやすく愛着の持てる地域、魅力ある地域をつくるためには、住民や様々な地域団体の方々などが、地域に関心を持ち、協力し合いながら身近な課題に取り組んでいく地域の力が非常に大切です。
その一方で少子高齢化の進行や単身世帯の増加、住民同士のつながりが希薄化し、これま で行ってきた活動の継続が困難になるなどの課題も指摘されています。
「ナゴヤをつなげる30人」では、地域活動の将来の地域の担い手となる20代、30代の若者を中心に、フュ ーチャーセッションの手法等を用い、企業・NPO・行政など背景の異なる多様な 人々が半年間のワークショップを通じて、ナゴヤの地域課題の解決策を始めとし たアイデアを創出していきます。
インフォメーション
- 開催日時
-
2019-10-08 (Tue)
10:00 ~ 17:30 - 応募締切日時
- 2019-10-08 (Tue) 17:30
- 会場名
- Open Innovation Biotope “Cue”
- 住所
- 愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング14F (株式会社オカムラ 中部支社内)
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- 定員
- 30 人
- 参加費
- 無料
2019年10月8日。
雨上がりの名古屋市内、Open Innovation Biotope “Cue”にて、名古屋市市民経済局地域振興部地域振興課の主催で”ナゴヤをつなげる30人”のDay2が開催されました。
今回も、Slow Innovationの加生氏の進行でスタート。
冒頭、まずは前回振り返りから。
ブレインストーミングとドット投票を通して、地域コミュニティを未来の学びの場にしよう、地域コミュニティをスポーツで活性化しよう、駅前の放置自転車対策、名古屋城外堀の有効活用、交通事故死者数ワースト1脱却、商店街復活、B級観光スポット発掘等のテーマが掲げられたことが確認されました。
また、Day 1の取り組みが新聞の記事となり、参加者からは記事を読んだ会社の上司、同僚から仕事へのフィードバックを期待したいという声があったと報告がありました。
次に、名古屋市役所地域振興課の丸澤主査から。
丸澤主査からは、前回の感想と「地域への押しつけにはならないようにしましょう。この場で出てきたアイディアを実現するために、私は頑張るので、アイディアをどんどん出してください。」という話がありました。
[午前] ペア対話〜マグネットテーブル
まず、今日のゴールは「問い」の設定であることが加生氏から説明されました。午前中は、それを披露するまでのワークショップを実施します。
●ペア対話
最初は、「いつものメンバー」ではない人と、ペア(小グループ)を作って、前回の宿題だった「ナゴヤ30で取り組みたいテーマ」についてペアで対話をします。
「職場の近くに電車を通したい」という意見から、「”食”をテーマに」や「高齢化を見据えた皆が住みやすいまちづくり」まで、幅広い意見を持ち寄られました。次に紙とペンが配布され、今日この場で話したいことを「この後、作るグループで私はこのテーマでやりたい、何故ならば…」という形で簡潔にまとめて発表します。
1人1人の発表時間は短いながらも、参加者それぞれがこの場に臨む意気込みを盛り込んだ、以下のような様々な思いが発表されました。
「地域の人が地域内で働ける地域の実現」
「交通事故を減らすには」
「繋がる防災コミュニティ」
「地域コミュニティで作る未来の学びの場」
●マグネットテーブル
熱く盛り上がった発表の熱が冷めない内にと、休憩を挟まずにマグネットテーブルを実施しました。
「この人と一緒に何かやりたい」、「似たようなことを書いている」、「自分の書いたものを捨ててもこれをやりたい」と思える人と、今書いた紙をお互いに見せながら15分間でグループを作るワークです。
加生氏からは、面白いものが生まれるグループの特徴として、
・異質なもの同士がつながる
・プラットフォーム的テーマを掲げている人と、コンテンツ案を持っている人がつながること
の2点への言及があり、ここで作るグループは今日1日のグループではないことと、複数グループを掛け持つことも可能であるというルールを共有して、スタートです。
ここで、少し早めのランチタイム休憩です。
視察で訪れていた名古屋市市民経済局中田局長から、「ここから何が生まれるかがとにかく楽しみ」という旨のコメントがありました。
[午後]
午後は、午前に来られなかったメンバーの自己紹介からスタート。
ランチ中にも様々な意見交換が行われ、午後のセッションが始まる前にチームは以下の5つに再編されました。
・教育チーム
・多文化共生チーム
・意外な組み合わせで面白いことを生み出したいチーム(防災×交通安全チーム)
・まちづくりチーム
・高齢者チーム
●「問い」作りワーク
午後の最初のワークは、問いづくり。
テーマを掘り下げていくために、まずはチーム毎に「どうしたら○○ができるだろうか?」という問いを作る話し合いを行います。
まず一度、それぞれ自由に話し合いを行った上で、これまでに東京の渋谷区で実施してきた事例も踏まえたアドバイスが加生氏からありました。
「大事なのは、どんな思いを人に届けたいのか。」
「そこが定まっていないと、問いを発しても、曖昧な答えしか導かれない。」
良い問いを生むために話し合いを重ね、各チームからの問いが出揃いました。
<教育チームの問い>『学校任せにしない未来の学びの場とは?』
教育チームは、チームメンバーの「子どもたちの未来の選択肢を増やしたい」、「児童虐待を解消したい」といった思いを背景に、このような問いを設定しました。
これを受けて、各チームが「学校任せにしない未来の学びの場とは?」を考えるブレインストーミングを行い、以下のような答えが発表されました。
・こども地域通貨(経済・社会の体験をする教育)
・カレー教室(地域の食文化や食材を活用した地域再発見ワークショップ)
・スポーツなどの地域の社会人チーム(社会人と地域の繋がりの場になる)
・起業塾(知識だけではなく実際に起業を目指し学びを得る)
これらの「問いへの答え」を受け、教育チームからは、「面白い答えがたくさん出てきたので、投げ掛けは成功だったかなと感じる。」といった感想が聞かれました。
一方で、加生氏からは、非常に覚悟が試されるテーマであるという話も。「子どもの教育」というテーマは、当事者である子どもがいないままに議論されると大人の理想の押し付けになりかねない危うさがあることや、教育に携わっている方々の理解を得ることが重要であるという喚起がなされました。
<多文化共生チームの問い>『あなたがこれまでに人と繋がりたいと思った時にぶつかった壁は?』
多文化共生チームは、いざ問いを設定しようと話し合いをしてみると、メンバーそれぞれが異なる経験を背景にこのテーマに集まっていたことから話が噛み合わなかったという告白から始まりました。課題感が共有できていないのではないかというモヤモヤを突き詰めると「壁」を感じた経験が原点だったという共通項を見い出せたため、問いをこのように設定したそうです。
この問いに対しては、
・名古屋の地域特性としては、地場の企業への愛を感じる。
・経営者との壁(経営している側にとっては、従業員との壁)
等の答えが出てきました。
多文化共生チームのメンバーからは、「自分たちから問い掛けをして議論をしてもらうというのが初めてで、新鮮な体験だった。」、「出てきた壁をどうオシャレに壊すか?と考えると、良いアイディアが生まれそう」という感想が聞かれました。
<防災×交通安全チームの問い>『私たちは何故備えないのか〜防災と交通安全〜」
こちらは、防災も交通安全も、実際に被害に合えば悪い思い出になるのに、ちょっと経つと風化してしまうのはどうしてなのかという純粋な思いをそのまま問いにしました。このような質問の場合、「なぜ?」→「では具体的にどうすれば?」という2段階の問いにしないと具体的なアイディアにならないので、今回に限っては、問いへの答えを1つ考えて、それに対する解決策を発表する形式で行うことになりました。
・死を自分ゴトとして実感できないからではないか。
→VR体験(擬似トラウマ) →身近な人の死を思い出す
・人任せになりがち、当事者意識が持てないから。
→被災地に行ってみる(ボランティア等) →置き薬方式による強制的な防災グッズの配備
防災×交通安全チームからは、「解決策がイメージできなかったので問いを立てるのがすごく大変だったが、問いを変えたことで道筋が見えた。」等の声が聞かれました。
<まちづくりチームの問い>『名古屋に友達が来て、連れて行って喜ばれた意外なスポットは?』
問いへの回答は、防災×交通安全チームのときと同様に、具体案にして発表することになりました。
そして以下のようなアイディアが出てきました。
・面白いおじちゃん、おばちゃんを訪ねて名古屋の人の思考回路を探るツアー
・地下街×観光で迷路・脱出ゲーム「出られない街No.1 名古屋」
まちづくりチームからは、「課題に対してストレートに向き合うのではなく、出られない街みたいな視点を持ち込む面白さを感じられた。」等の感想が出ました。各チーム、問いを設定して多くの人に投げ掛けることで、全く新しい視点が生まれるという気付きが得られているようです。
<高齢者チームの問い>『小学校区で友達100人作るには?』『何故、私たちは地域で繋がれないのか?』
誰もが単身高齢者になる可能性はある、誰もが障害者になる可能性もあるという前提で、自分が単身になった時に繋がっていられる人はいるか、自分が障害者になったときに支えてくれる人はいるかと考えて、この問いに辿り着きました。
問いの主語は「私たち」にしてしまうと質問が遠いものになってしまうので、「私」の方が良いという加生氏の助言も踏まえ、「私の地域繋がり具合」を各チーム内でブレインストーミングした後に、「地域で助け合いができる、セクターを超えたつながりができる(自社でできる)企画は?」を話し合って、発表することになりました。
・工場見学や場所貸し
・職場体験
・栄の歴史を紐解く
・自社商品の提供
高齢者チームのメンバーからは、「既に取り組みをされているという企業が多いが、そこにアクセスできる人が少ないことが課題で、場を作りましたで思考がストップしないように考えていきたい。」等の声が聞かれました。
ここまででDay 2のワークは終了しました。
今回は丸1日を使ったワークショップで、参加者にはお疲れの様子も伺えましたが、これをウォーミングアップとして、今後さらにテーマを掘り下げていきます。
名古屋市役所地域振興課の丸澤主査からは、「次回に向けてまだまだ改善点がある。短時間の間で問いが深くなっていく様は面白い。」というコメントがありました。
次回は、11/14に名城大学の社会連携ゾーンshakeにて、オープンセッション形式となります。市役所や町内会関係者にもなるべく広く参加してもらい、午前中にテーマ毎の問いをより自分ゴトになる形に洗練し、午後にブレインストーミングを使ってクリエイティブな課題解決策を創出していく予定です。