OUR FUTURES

プレを終了し、本格的な開催となる第1回目は、シナリオプランニングを活用し「2034年の桜井駅前」の未来新聞を作成するという内容です。

シナリオプランニングのプロセスは次の通りです。

１．課題を設定する＝桜井南口の未来像（ビジョン）を描く

２．情報を収集する＝桜井南口の強みと弱みを整理する

３．未来を動かす「ドライビング・フォース（変化の兆し）」を特定する

　　＝STEEPの切り口で未来を想像する

４．未来を左右する「分かれ道」になるような原因を見つける
　＝桜井南口に影響を与える２つの軸を特定する

５．シナリオを考える

　　＝２つの軸から４つの象限をつくり、名前を付ける

６．骨組みに肉付けし、ストーリーを描く

　　＝未来新聞をつくり、そこに至るまでになにがあったかを想像する

まず、シナリオプランニングの手法について簡単に説明した後、参加者の情報や前提をそろえるため、SWOT分析をつかい、桜井駅南口の強み・弱み・機会・脅威を抽出しました。

共通していた強みは、住みやすい街であり、日本の発祥ともいうべき貴重な歴史と伝統文化をもっている街であること、弱みはその歴史や伝統文化が十分アピールされていない、自己満足に終わっている、保守的な方向に働いている、街への愛着が薄らいでいるということでした。

次に、最も大事で最も難しいドビングフォースの発見（分岐点となる変化を見つける）です。ここは毎回参加者もファシリテーターも何が出てくるのか、どんな切り口が起こりうる未来に繋がるのか一番頭を使う場面。みんな真剣です。

最終的に出てきた軸は、「高齢化」と「環境」。

言葉だけを見ればありふれたキーワードかもしれませんが、大事なことはそれを生み出すプロセスに参加者全員が関わり、その軸をみんなで創り出したことにあります。

そこから導き出された４つのシナリオを未来新聞にしあげました。

それぞれのシナリオと新聞の主な内容は次の通りです。

シナリオ１高齢化進展×環境に配慮された街

　　　　　第3期エバーグリーンタウン誕生

　　　　　世界一高齢者に優しい街をめざして／元気な高齢者がアクティブに活動する街

シナリオ２高齢化ストップ×環境に配慮された街

　　　　　桜井駅南口大規模再開発いよいよＨ４６年１０月オープン

　　　　　駅直結の新たな市役所誕生／桜井３高校のＵターン就職続出／保育所無料化

シナリオ３高齢化進展×環境悪化

　　　　　ズボラウィルス猛威　死者1000人超　

　　　　　市の人口が激減／人口分布も高齢者に集中／駅周辺に多数の路上生活者

シナリオ４高齢化ストップ×環境悪化

　　　　　桜井市破綻　駅南口で暴動発生か？

　　　　　公共サービスの停滞で住民不満が爆発／税収減による財政悪化

■未来は「今」から創り出されていることを実感

　シナリオプランニングでは、現実から逃れられない人や未来を描きにくい人もいます。今回も少数ですが、シナリオプランニングという手法そのものになじめない人や、「そのような生ぬるいやり方ではうまくいかない」と反発する参加者がいました。その意思は尊重しつつ、どのような未来が起きるかは誰もわからないこと、けれど過去・現在・未来はつながっていてその連続性の中で考えることで、よりよい選択の幅が広がることを丁寧に伝え納得して頂きました。

　シナリオプランニングをどのような状況でどう活用するかはまだまだ検討の余地がありますが、多くの参加者は楽しんで発想を広げていました。極端な未来を描くことで、こうなりたい・こうなりたくないという意志や、こういう未来がきたらどう対応するかという想像力が生み出されます。この枠を一旦はずす、ということがありたい未来を考える、創造的なアイデアを創り出す上で非常に重要だと考えます。