幸せっていったいなんでしょう?
なにが自分にとっての幸せなのかをみなさんは考えたことがありますか?
コミュニティサイトや掲示板、ブログパーツの提供などを行う株式会社ミクルは「家族を幸せにする会社」を経営ビジョンに掲げています。
代表取締役CEOの福井直樹さんは長い間、幸せについての探求を深め、この経営ビジョンを掲げるにいたりました。
お客様の幸せ……でもなく、社員の幸せ……でもなく、家族の幸せを考える……、あまり聞いたことのない経営ビジョンです。
今回はミクルの福井さんにご登場いただき、仕事へのスタンスや、そもそも幸せについて考えることについて、勉強会を行いました。
まずは無限のアイデアを生み出すワークから!
ミクルの代表取締役CEOの福井さんは、その活動とは別に、一般財団法人ひらめき財団の代表理事でもあります。
ひらめき財団は、その名からわかるように、アイデアに関する研究を行っている団体です。福井さんは、ワークショップの導入として、この財団で開発したダイスを使った自己紹介を提案しました。※ひらめきダイス
福井さん)僕はずっとアイデアの研究をしてきまして、それを4つの要素から組み立てたアイデア理論にまとめています。最初にそのアイデア理論を少し体験していただきながら、お互いの自己紹介をするワークショップをしてみましょう。
アイデア理論は、①再構築 ②欲求と分解 ③抽象度操作 ④アイデア空間操作から構成されるのだそう。ダイスを使ったワークショップは、再構築がモチーフになっていて、概念のダイスと接着剤のダイスと既存アイデアが記されたダイスを振ることで、無限に近いアイデアを生み出します。
転がるダイスの目によって問いが生まれるので、多様で即興な自己紹介をすることができます。
福井さん)アイデアは頭の中にすでにあって、その組み合わせだったりします。ダイスは頭のなかにあることを具体的な問いをつくることで引き出すことができます。抽象度をさげて、記憶を呼び覚ましやすくすることがポイントですね。
ひらめきダイス:iOS
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%82%A9%E3%81%BF%E3%82%92%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA-%E3%81%B2%E3%82%89%E3%82%81%E3%81%8D/id937049595
ひらめきダイス:Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.mikle.Hirameki&hl=JP
わたしたちは何が満たされれば幸せなのか
続いて、アイデア理論の②欲求と分解をモチーフに、こちらも福井さんが開発した欲求カードを使ったワークショップを行いました。※欲求カード
欲求タップ
https://app.hirameku.com/
福井さん)幸せを考えるうえで自分の欲求が何かを知っておくことは大切ですよね。人には、皆んな欲求があります。そして、この欲求という感情を行動が満たしています。例えば、安全を確保する行動があって、安心が生まれますよね。食事をするという行動があって、満腹感が得られます。行動があって、感情が生まれる。この順番であることが大事なのです。
私たちは行動によって生まれた感情を記憶します。記憶した感情がよいものであれば、その記憶の追体験をしようとして同じ体験をしようとします。そんな人間の行動心理からアイデアを探っていくことも可能。欲望をキーワードに考えると、確かにさまざまなサービスのアイデアが生まれてきそうです。
福井さんは、さらに欲望についての探求を、マズローの5段階欲求とともに話してくれました。
福井さん)みなさん、マズローの5段階欲求はご存知ですよね。生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現の欲求と5つあり、生理的欲求から自己実現の欲求に向け、より高次な欲求になると言われています。みなさん、この5つの欲求については知っていても、その欲求の具体的なことは知らないことが多いです。マズローも細かく言及はしていませんよね。
欲求を探求した結果、欲求には24のポジティブなものと24のネガティブなものがあるとした福井さん。マズローの5段階欲求に沿うようにそれらを分類したカードをつくっています。
自分の幸せを知るには、自分が何を求めているかを知っておいたほうが良さそうです。また、他者とどのような違いがあるのかを知っておくのも面白いでしょう。
そこで、次のワークショップでは、ポジティブな欲求を、自分が大切にしている順番に並べて変えて、他者と見比べるというワークを行いました。
ミクルには常識に縛られない不思議な掟が満載!
ふたつのワークでアイデアの生み出し方と欲求についての考え方を体験した後は、いよいよ「家族を幸せにする会社」という経営ビジョンを掲げるミクルの話に移りました。
そもそもどうしてそのようなコンセプトの会社が生まれたのでしょうか。
福井さん)僕は小学校4年生のときに、世界を平和にして「ノーベル賞を獲ること」を決めました。17歳のときには「27歳までに大企業勤務と起業と不動産購入と結婚をしよう!」と決めました。さらに、「35歳までにか会社で成功を収めて、45歳で平和への研究に着手する」といったことも決めました。
決めたことを着々とやった僕は、それなりの小銭も得ましたし、まわりのみんなからすごいと言われたのですが、まったく幸せを感じてはいなかったのです。
若くしてビジネスに成功した福井さんは、社会的にみると憧れられたり、うらやましがられたりする存在です。
ところが、それによる幸福感が得られないどころか、人間の嫌な面に触れるような機会が増えてかえって気分が沈むことが多かったのだそうです。
「では、どうなれば幸せになれるのだろうか?」
そんな疑問を抱いた福井さんは、まわりの人たちに、「あなたの幸せっていったいなに?」と、聞いてまわったのだそうです。けれど、そのときに一番多く帰ってきた答えは「そんなこと、いままで考えたことがない」だったそうです。
福井さん)それで、僕は、どうすれば幸せになれるのかを考えることにしました。ビジネスで成功してもお金を稼いでも不動産を得ても幸せじゃない。だったら、何が幸せなんだろうかと追及してみたんです。
人の欲求などから幸せについて考えた福井さんは、本当に幸せなのは、お金持ちではなく、家族を持っている人、そして、時間を持っている人ではないか、という仮説を立てるに至りました。
そこで、ミクルでは幸せの定義を、「守るべき幸せにしてくれる家族がいること」や「時間的余裕があること」、「頑張っていることを共感し合える仲間がいること」など、6つの項目をあげました。
そして、「それら幸せの定義を満たせるのはどのような仕事なのだろうか?」というふうに、幸せの定義からビジネスを考えるという手順を踏んでいったのだそうです。
福井さん)幸せの定義から考えると、僕たちはフロー型のビジネスはやるべきではないという結論に達しました。だからミクルでは、コミュニティサイトや掲示板、ブログパーツの提供などストック型のビジネスしかやりません。
ほかにも、家族の幸せを基準にものごとを考えるミクルには、一般的な会社ではおよそ考えられないような方針がたくさんあります。
福井さん)僕たちは年に2回、家族みんなを招待して旅行をしています。国内と国外、それぞれ1回ずつですね。旅行中はインターネットが使えなくなるので、それでも仕事がまわるだろうかと、最初は実験の意味も兼ねて実施しました。
結果としては、何も問題は起きませんでしたし、売り上げが下がることもありませんでした。
ほかにも「パートナーがいない人は不採用」「2日働いたら必ず次の日は休む」「オフィスは持たない」「スケジュールにはまず家族の予定を入れる」「会議はしない」「自分の部下は自分が連れてこなくてはならない」など、一見、理解に苦しむ掟が満載なのです。
福井さん)幸せとはなにかの定義を考えて、そこから逆算していくことで、いまのライフスタイルは確立されました。ですから、うちの会社の社員や家族はみんな幸せにやれているんじゃないかなと思います。
ちなみに、ミクルには現在、130名ほどの社員がいるそうですが、オフィスがなく住んでいるところも国内や国外でバラバラにちっているし、さらに会議もないため、福井さん自身も半分ほどのメンバーにしかあったことがないのだそう。
話を聞いても、どうしてそんなことができてしまうのだろうか、と、ますます疑問が膨らむばかりの勉強会となりました。
質疑応答の内容は参加者の間で共有しました!
ひととおり福井さんのストーリーを聞き終えた後は、質疑応答の時間を設けました。
なにしろ、当たり前の発想をぶち破る話が満載だったので、参加者のみんなの頭の中にはたくさんのクエスチョンマークが浮かんでいます。
そこで、福井さんに、以下のような質問をぶつけてみました。
質問:共有スケジュールの埋め方についてお聞きします。最初に家族の予定を入れてあまった時間に仕事をいれるとのことですが、それで仕事がまわるのですか?
質問:ある程度能力が高い人じゃないと成り立たないビジネスモデルなのではないですか?
質問:大前提として、家族が幸せのテーマになっているけれど、どうしてそこにたどり着いたのですか?
質問:パートナー探しも難しいですよね。パートナー探しではどのようなことを決め手にしているのですか?
質問:ストック型ビジネスを行っているということですが、それが会社として成り立っている鍵なのですか?
など、など、など。
=====
福井さんは、もちろん笑顔ですべての問いに答えてくださったわけですが、こちらの内容については、そこに来ていた人の間での共有にしたいと思います。
フューチャーセッションズ 未来勉強会では、ふだんの仕事のなかでは触れられないようなユニークな話が聞けたり、多様な参加者同士のアイデアあふれるセッションが楽しめたり。
多様なつながりやビジネスのヒントが満載の勉強会に、みなさんもぜひ、足を運んでみてください!
また、次回の未来勉強会もお楽しみに!
インスピレーショントーカー:
福井 直樹(ふくい なおき)
ミクル株式会社 代表取締役CEO
1971年大阪市生まれ。神戸大学経営学部卒。NTTを経て1997年ITベンチャーを創業、世界初の広告モデルでの無料メーリングリストサービスを提供し、2000年楽天へ時価総額13億円でバイアウト。2001年には日本初となる経験を活かしたIT業務アウトソーシング事業、更にはマンション購入者向け掲示板サイトを立ち上げた。2003年IT業務サポート専門会社を創業、メール対応業務向けクラウドサービスの開発提供した後にアバターコミュニティで成功していた海外上場企業に売却、経営参画し日本法人の代表取締役に就任。 2005年日本初のマンション購入応援コミュニティを提供する株式会社eマンションを創業。同年日本初の携帯電話特化型掲示板サイト『ミクル掲示板』を提供するミクル株式会社を創業。それぞれの代表取締役に就任。
2007年よりアイデア研究に従事し2013年大阪大学経済学部特任研究員に就任すると共に一般財団法人ひらめき財団を設立し代表理事に就任。
ファシリテーター:
芝池 玲奈(しばいけ れな)
株式会社フューチャーセッションズ
学生時代から開発教育ワークショップの企画やファシリテーションに取り組み、卒業後は大手研修会社にて講師を勤める。平成25年6月より、新しい未来を創っていくために、株式会社フューチャーセッションズに参画。セクター横断のイノベーションプロジェクトや、組織内ファシリテーターの育成を通じた組織開発・変容プロジェクトを、企業や自治体などで多く手がけている。つくりたい未来は、私たち一人ひとりの「自分ごと」が引き出され、表現され、実現され、響きあう世界。
株式会社フューチャーセッションズ
https://www.futuresessions.com/
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