「社会を変えるチームを生み出すフューチャーセッション」
「社会を変えるチームを生み出すフューチャーセッション」(主催:ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会、株式会社フューチャーセッションズ)から生まれた、社会を変えるチームの一つに、エリアのリアルを伝える「エリアル」がある。このエリアル・チームが、東京の移住に関心のある人たちと、移住経験者・移住支援者とのリアルな対話の場を作った。それが、「移住フェス」。本当に学びの多いフェスになった。
写真:エリアルによる「移住フェス」の会場雰囲気@サイボウズ本社
“それぞれが生きたい場所で生きる”のが当り前の世界をつくりたい
なかでも秀逸だったのが、京都移住計画のタナカユウヤさん。「“それぞれが生きたい場所で生きる”のが当り前の世界をつくりたい」、とさらっと語ってくれた。その瞬間、これこそが移住フェスの目的そのものだ!と強く確信した。
移住フェスのブレイクアウトセッションは、京都、広島、東北、四国、小布施など、地域毎にいくつかの部屋に分かれ、少人数の対話形式で進められた。四国や広島の部屋では、スカイプで地域とつなぎ、移住者と直接対話するというエリアルらしい進め方で進められた。私が参加したのは、京都の部屋。サイボウズさんのこの会議室の名前も偶然、「京都」。後楽園を臨む美しい借景の前で、京都への移住を私も夢想した。
コミュニティ、家、仕事の3つを強力にサポート
京都移住計画の活動の目的は?と尋ねると、「京都に住みたい人がいたら、サポートしたい。その人たちが京都の各地で幸せに過ごせたらと思う。つなぎ役でありたい」。本当にいつも、さりげなく、素敵な言葉が返ってくる。そのさりげなさとは対照的に、その活動のカバー範囲は広く、なおかつ深い。移住希望者にとっての、人が生きて行く上で必要不可欠な、コミュニティ、家、仕事の3つを強力にサポートしている。
一つめは、コミュニティ。
移住者と移住検討者を中心としたリアルな交流会、京都移住茶論(サロン)では、Iターン仲間との出会いがある。移住の先輩と出会うこともあるし、「これから移住したい」という人同士が出会って友達になり、一緒に移住を実現させる生涯の友になる場合もある。この日のフェスに参加したお一人は、茶論で二人の友達ができ、なんと今年の11月に彼女が移住を果たすと、3人全員が京都移住を達成するという。
このように、コミュニティづくり、不動産紹介、求人企業の紹介という複数の事業を統合的に行う、きわめて洗練されたシステムを持ちつつも、「人と人をつなぐところは、ビジネスにするつもりはない」と言い切ってしまうところが素敵だ。「周りの人が、自分たちらしく生きられる環境を、ぼくらは京都に作りたい」というブレない、明確なビジョンを持つ。企業の紹介など、ビジネス的に進めて行けるところと、あくまでもノンプロフィットにこだわる人つなぎのところをうまくバランスしていきながら、タナカさんはこのプロジェクトをずっと続けて行くつもりだ。
その一方で、「京都だけが地域ではない」と言い、他の地域を盛り上げようとしている人たちとの相互支援ネットワークづくりも進める。目的は、京都への移住者を増やすことではないのだ。「それぞれが生きたい場所で生きるのが当り前の世界をつくりたい」、というビジョンを持つ。
二つめは、家探し。
どの地域に住むとどんな暮らしがあるか、いろいろな相談にのる。クルマに乗るならどこ、自転車に乗るならどこ、趣味が何か、予算はいくらか。そんな様々なインタビューから、リアルな暮らしのイメージづくりを支援する。この日も、京都移住を考えているご夫婦に対して、具体的な相談に乗っていた。
そして三つめは、仕事探し。
京都にある魅力的な企業の求人を取材してwebに掲載するだけでなく、時にはキャリアカウンセリングも、京都移住計画のウリの一つ。どんな仕事をしたいのか、今までにどんな仕事をしてきたのかを詳しく聞き、様々なネットワークからも仕事を紹介する。移住の人だけでなく、京都の大学生にも地元の魅力的な企業を紹介していきたいと言う。
さらにそれが、起業支援にまでなることも。面白いケースを紹介してくれた。
どの地域に住むとどんな暮らしがあるか、いろいろな相談にのる。クルマに乗るならどこ、自転車に乗るならどこ、趣味が何か、予算はいくらか。そんな様々なインタビューから、リアルな暮らしのイメージづくりを支援する。この日も、京都移住を考えているご夫婦に対して、具体的な相談に乗っていた。
そして三つめは、仕事探し。
京都にある魅力的な企業の求人を取材してwebに掲載するだけでなく、時にはキャリアカウンセリングも、京都移住計画のウリの一つ。どんな仕事をしたいのか、今までにどんな仕事をしてきたのかを詳しく聞き、様々なネットワークからも仕事を紹介する。移住の人だけでなく、京都の大学生にも地元の魅力的な企業を紹介していきたいと言う。
さらにそれが、起業支援にまでなることも。面白いケースを紹介してくれた。
世界中を旅していた夫婦が移住茶論に参加し、町家に住みたいと言っていた。次に茶論に来たときには、なんと町家を借りるのではなく、買ってしまっていた。そこで住みながら地域の人も巻き込んでオープンに人が集まれる場も作りたいということであった。その熱意に巻き込まれて、行政の助成金を探したり、地元のネットワークとつないだりなど、起業支援までやってしまうこともある。これもまた、移住計画の面白いところである。
「周りの人が、自分たちらしく生きられる環境を、ぼくらは京都に作りたい」
このように、コミュニティづくり、不動産紹介、求人企業の紹介という複数の事業を統合的に行う、きわめて洗練されたシステムを持ちつつも、「人と人をつなぐところは、ビジネスにするつもりはない」と言い切ってしまうところが素敵だ。「周りの人が、自分たちらしく生きられる環境を、ぼくらは京都に作りたい」というブレない、明確なビジョンを持つ。企業の紹介など、ビジネス的に進めて行けるところと、あくまでもノンプロフィットにこだわる人つなぎのところをうまくバランスしていきながら、タナカさんはこのプロジェクトをずっと続けて行くつもりだ。
その一方で、「京都だけが地域ではない」と言い、他の地域を盛り上げようとしている人たちとの相互支援ネットワークづくりも進める。目的は、京都への移住者を増やすことではないのだ。「それぞれが生きたい場所で生きるのが当り前の世界をつくりたい」、というビジョンを持つ。
地域間のつながりが地域を元気にする
今回のフェスを通じて、京都移住計画のタナカ ユウヤさんが言いたいことを私なりに理解したこと。それは、「地域にコミットすることは、その地域に閉じることではない。一つの地域にコミットすることで、他の地域とのつながりが生まれてくる」ということ。だから、好きな地域にどんどん行ってみればいい。 私も、京都に移住したくなってしまった。
2014年9月28日
(文:野村 恭彦)
(文:野村 恭彦)
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