OUR FUTURES

このストーリーは

プロジェクト 「 フューチャーセッションズ未来勉強会

から投稿されました。

社員の「エンゲージメント」を高める、対話を通じた組織カルチャーづくりが企業を成功に導くグローバル企業人事と学ぶ、対話型組織のつくり方


「戦略通りに社員が動いてくれない」

「これまでの組織風土を刷新して、会社として生産性を高めたい」


日々こんな悩みを抱えるマネージャーや人事担当者は多いのではないでしょうか。


旧来のようなトップダウン型のマネジメントではなく、

組織を活性化し、社員一人ひとりが自発的に働きたいと思えるような組織カルチャーを作り上げるには一体どうすれば良いのでしょう?




そんな問いをテーマにした対話セッションが、

先日、「フューチャーセッションズ未来勉強会」で行われました。


第一回目となる勉強会の問いは、

「どうすれば対話を通じてチーム成功に導けるだろうか?」。


本レポートでは、

そんな勉強会の様子をまとめて紹介します。



社員が「会社の存在意義」を
答えられる組織は強い


世界的なグローバルメーカーのGEで組織開発マネジャーや人事部長を担当し、現在はGoogleで人事を担う谷本さん。


GEは創業130年超、30万人以上の社員を抱える大企業ながら、常に素早いグローバル環境に対応し、リーダーシップをベースとしたカルチャーづくりを推進。Googleも、社員の自由なワークスタイルやその生産性の高さから、ビジネス戦略のみならず、人事戦略にも注目が集まっています。


組織の力を最大限に発揮し成果を出し続けられる両社の秘訣が、目指している目標を社員に明確にして共有すること。そのヒントとして「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透」にあると、谷本さんは話してくれました。



谷本 美穂(たにもと みほ)

Google合同会社人事部長。慶應大学卒業後、人材サービス会社を経て2000年GEに入社。GE金融部門の担当人事、日本GE本社部門の採用リーダーや組織開発マネージャーなどを歴任し、グローバルリーダーシップと組織開発に携わる。2011年より米国GEグローバル本社の人事部門に異動、次世代グローバルリーダー開発を担当。2018年2月末までGEジャパン株式会社人事部長。2018年5月より現職。)



「みなさんが、”この会社で頑張ろう”と思えているのって、どんな状態でしょうか?」


「色々あると思いますが、1つにはそれは、今いる組織のビジョンが明確で、”なぜ自分はここにいて、会社が何をすべきか”が明確に腹落ちしているときではないでしょうか。逆に、”自分が何をすれば評価されるかわからないとき”ってすごくモヤモヤしますよね」


「この会社のミッション、このチームがやろうとしていることに対して、どんな行動、どんな貢献が評価されるのかが明確で納得していると、そこに向かって頑張っていける。そして、その貢献を会社としてきちんと評価する、そのサイクルをつくることが大切だと思っています。」


つまり、会社の存在意義やその中における自分の役割を社員が理解・共感することで、社員が組織に「エンゲージ」していくようになる。


事実、GEやGoogleは、会社の存在意義や、目指す姿、社員に求められる行動をMVV※などの形で定義し、かつそれを全社員に浸透させているからこそ、社員の高いエンゲージメントを引き出せているのだと言います。




※MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは
経営理念として多くの企業が取り入れているフレームを指す。MVVは、「ミッション=企業の存在意義」、「ビジョン=企業の目指す姿」、「バリュー=価値観、行動指針」を意味する。

(キャプション…当日使われたMVVの図解資料)



経営理念を
浸透させる手段としての「対話」




では、社員のエンゲージメントを高める軸となるMVVを、組織に浸透させるには、どうすれば良いのでしょうか?


ここでポイントとなるのは、決してルールや制度を作って、MVVを浸透させるわけではないということ。


「MVVを浸透させるには、ルールも制度もいりません。ストーリーテリングと対話の「カルチャー」をつくることが大切です」


「GEでもGoogleでも、会社のビジョンの浸透のためには徹底的に対話を繰返します。トップ自ら語ることを欠かしませんし、マネージャーがほぼ毎週社員と1on1ミーティングを実施するなど、対話を重視するカルチャーを通じてビジョンと行動を浸透させています。」


そういったカルチャーづくりによって、

「会社のミッションや目指すビジョンを言えない人は一人もいない」と言える状態にしていると話します。


そして加えて大事なことは、ビジョンを率いるリーダーやマネジメント層の情熱とコミットメント。こうして、GEやGoogleでは向かっていきたい方向性が常に共有されていて、社員が組織への高いエンゲージメントを持ちながら日々仕事にあたることができているのだそうです。


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谷本さんのインスピレーショントークが終わり、参加者全員で理解を深める対話セッションに。


対話セッションでは、日々、組織開発に取り組む現場の生々しい悩みや課題が吐露され、それに対してゲストだけでなく、参加者も自社の知見を共有する、まさに「越境学習」の場になりました。


ここでは、そのうちのいくつかのやりとりをピックアップします。



「対話の場」
まずどこから始めるべき?


参加者 Aさん)

私たちも対話の重要性を理解し、社内でも広めようと実践したがなかなか広まらなかった。みなさんが組織開発や、対話の概念をインストールするときに、どういうスタートを始めたのか気になります。その辺りはいかがでしょうか?




大手グローバルメーカー Bさん)

よく人事側が対話の場をつくろうとするが、そうすると失敗するんですね。やはりビジネスサイドの要請が必要だと思います。

例えば市場など、外部環境の変化があって、会社の戦略もそれに合わせて適応させる必要があると。そのための戦略を社員に実行させようと思った時に、対話を通じて戦略の必要性を理解浸透させる、といったやり方があります。つまり、あくまで1つの解決策として「対話」を持ってくるという、ストーリー展開が大切だと思います。対話はあくまで「HOW」なので、そもそも何について対話すべきなのかという「WHAT」、そしてなぜ対話をする必要があるのか、という「WHY」から考えることが必要だと感じます。


大手外資系家電メーカー Cさん)

私たちの会社では、1年間にわたって対話型の組織開発を行ってMVVを浸透させることに成功しました。

ステップとしては、まず全社員が組織課題のムービーを見て、会社の課題を理解する。その後、ファシリテーション研修を実施し、対話を行うための土壌を創り出します。その後、会社で組織開発したい人を有志で集めて、彼ら組織開発マネージャーを通じて、対話のムーブメントを広げ、MVVを会社に浸透させました。結果としては、ビジネスモデルの根幹だった電球を無くしたり、リストラしたり、イノベーション志向にビジネスモデルを変えて組織もビジネスも大きく変革することができました。


サイボウズ Dさん)

サイボウズでは、他部署の人と様々な意見交換ができる「仕事バー」を有志で開催しています。飲食代は会社が持ち、まずは「タダでご飯が食べられるよ」と呼びかけ、気軽に対話が行える場を作っています。


フューチャーセッションズ 宮武さん)

組織開発においては、おざなりにされがちな「関係の質」を高めることにまず手をつけるのも一つですよね。サイボウズの「仕事バー」はまさに、関係の質を高める入り口としての施策を打つことで、「組織の成功循環モデル」につながると思います。



対話の深化によって起こる

「副作用」


参加者Fさん)

会社の周年事業として、数千人の社員がボトムアップで新ビジョン刷新を進めている。これだけ聞くと美しいストーリーだが、その対話によって、会社と価値観が合わないことが浮き彫りになり、自ら会社を去る人も出てきている。そういった変化に対してどう向き合うべきでしょうか?



谷本さん)

合わない、そこに共感してコミットできないのであれば、去ることは悪いことと思わない。カンパニーだから、共感できたり、ここにいたいと思える人が集まることのが、本来は健全な会社のあり方だと思うんです。

もちろん対話を深める中で反対する人も出てくる。でも人ってやっぱり正しいことが好き。みんなのダイアログを深めていけば、必ず善意ある意見が組織から出てくるはず。そこから、この会社が言ってることが正しいなとたくさんの人が思えるビジョンを作れるかどうかだと思います。


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今回、ここで取り上げた対話はごく一部ですが、

その他にも、


「対話のカルチャーを育むファシリテーターを組織の中でどう育てれば良い?」


「60代のシニアから新卒まで多世代が混在する組織において、それぞれの立場を超えて円滑に対話を進めるにはどうすれば良いか?」


「Google社員は仕事の20%を自分の好きなことに使って良いというが、どうやって社員管理している?」


など、組織開発にまつわるたくさんの問いが投げかけられました。


最先端の知見を持つ、ゲストのインスピレーショントークはもちろんのこと、

属する組織の中では得られたなかった、新たな知見を得られるのも、未来勉強会の大きな価値の1つです。


この記事をご覧になって、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ次回の未来勉強会に足を運んでみてはいかがでしょうか。






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インスピレーショントーカー




谷本 美穂(たにもと みほ)

Google合同会社 人事部長

慶應大学卒業後、人材サービス会社を経て2000年GEに入社。GE金融部門の担当人事、日本GE本社部門の採用リーダーや組織開発マネージャーなどを歴任し、グローバルリーダーシップと組織開発に携わる。2011年より米国GEグローバル本社の人事部門に異動、次世代グローバルリーダー開発を担当。2018年2月末までGEジャパン株式会社人事部長。2018年5月より現職。



ファシリテーター


宮武 洋一(みやたけ よういち)

株式会社フューチャーセッションズ 


東京大学経済学部卒業後、印刷会社にて自動車メーカー向け内外装用加飾樹脂部品の営業を担当。

その後、輸入車インポーターにてエリアマネージャー、営業企画、ディーラー開発、財務、子会社の管理部門責任者などを歴任。2017年に金沢工業大学虎ノ門大学院にて経営管理修士を取得。

2017年4月に株式会社フューチャーセッションズに入社。足立区協創プラットフォーム運営、川崎市パラムーブメント推進ビジョン策定支援業務などを担当。


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未来勉強会の内容を東海大学の学生さんたちがグラフィックレコーディングしてくれました。


【文・北埜航太】




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