オフィスワーカーがつくる地域社会の可能性
Mission
インフォメーション
- 開催日時
-
2012-06-02 (Sat)
17:00 ~ 20:00 - 応募締切日時
- 2012-06-02 (Sat) 20:00
- 会場名
- 光明寺(神谷町)
- 住所
- 東京都港区虎ノ門3-25-1
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- 定員
- 50 人
- 参加費
- 会場払い 2,000 円
- 主催者
企画メンバー:野村恭彦、松本圭介、青江覚峰、火置恭子
Participation
Description
「お寺が地域社会のフューチャーセンターになることは可能か」という問いのもと、神谷町オープンテラスや誰そ彼ライブなど、地域社会に新たな場を生み出すさまざまな活動を進める光明寺(神谷町)にて、(1)オフィスワーカー、(2)地域社会、(3)お寺の三つの組合せから生まれるイノベーションの可能性について考えたいと思います。
※本フューチャーセッションは、Future Session Week 2012 特別サイトの閉鎖に伴い、OUR FUTURES上に移行したものとなります。Future Session Week 2012 特別サイトはOUR FUTURESとは別サービスとなるため、企画メンバー情報、参加者情報などは引き継がれておりません。
旧サイトでの参加者数:49人
チェックイン
カフェやコンサートを通して、都会でのお寺のあり方を示してきた光明寺。今回は、「お寺は、地域のフューチャーセンターになりえるか?」という問いのもと、土曜日の夕方、ビジネスパーソン中心に40名以上が集った。
集まった人がお互いを理解する
お寺の境内で、青江さんお手製の「紫陽花」のお菓子を皆で食す。テーブルごとの対話で、相互理解を深めた。
ゲストからインスピレーションを得る
・松本さん
光明寺で働いている。2003年に大学を卒業して、お寺に入り、10年目。一般目線をもったお坊さん。お寺が、すごく気持ちいい空間なのに平日、活用されていないと感じ、オフィス街である神谷町で通勤してくる人も入ったコミュニティを考えて、オープンテラスを始めた。
北海道出身で大学から東京に出てきた。今は、京都へ移り住んでおり、そんなに地域へのこだわりは強くない。地域社会は大事だが、もっと注目しているのは縁づくり。お寺の檀家制度は、地縁・血縁をベースとして、地域社会と関係性をむすぶ仕組みだった。このような仕組みは崩れてきたが、変わって、テーマ型のコミュニティやソーシャルネットワークなど新しいつながりができていて、これも縁だと言える。縁づくりの中心としての機能は重要。コンピューターでつながれるとはいえ、最も情報量の多いコミュニケーションは対面。住職は文字通り、そこにいる人で、お寺が、公民館のように箱だけあるのと違うのは、この点。あそこに行けば誰かがいるという場所から縁が生まれるのではと考えており、縁に注目している。
・青江さん
浅草のお寺の住職。神谷町オープンテラスなどの色々な企画に関わる。お寺ではなく、神谷町という地域の中で色々な人が集う場ということで、こだわって名前をつけた。
地域というと、関わっている神谷町以外に、地元の浅草も考える。神谷町が、昼夜間人口の差が大きいオフィス街であるのとは対照的に、浅草は、住む場所であり、働く場所であり、観光する場所でもある。顕著な例が、浅草寺幼稚園。リピーター率が高く、3代つづいて浅草寺幼稚園という子が少なくない。ずっと住み続けることが当たり前の地域。自身は14代目のちゃきちゃきの江戸っ子。浅草は、このように分かりやすい地域愛である一方、神谷町にも違う形で地域への愛情がある。どこにいっても感じられる地域愛をどうひっぱっていけるかが、街づくりであり、且つ、お寺の役割だとも思う。
・木原さん
お坊さんになって3年目。神谷町オープンテラス店長。
お寺は地域と密接にかかわっている。光明寺は今年で800年。火事や空襲があってお寺が変わっても、人が受け継いできたお寺。昔、住んでいたおばあちゃんがカフェにきて、「こんなところができていたとは」と驚かれたり、最近住み始めた方で「こんなところがあるんだ」と発見してくれたりする。オープンテラスをしていると、お寺に集まってくる地域の方がたくさんいることを実感する。誰そ彼は暗さを利用して境界線をなくすとの話がでたが、オープンテラスは逆に、明るくて境界線がないので、色々な人がつながっていく感じがする。そんなところを色々と考えた末、お坊さんになった。
集まった人でダイアログ
■テーブルごとの対話から得られた洞察。
- 目的が共通しているコミュニティは多い。しかし、テーマ型のコミュニティは地縁ではない。逆に、田舎の友達といる時は安心したり、お祭りの時には集まったり、場所が離れていても支援してくれるコミュニティもある。3・11の時も遠くから支援があった。
- 同じような目標のある人はモチベーションがあって、色々なコミュニティがあるということを確認。震災の活動などもそう。震災の時には、知らない人だけど助けてもらったという経験もあって、近いコミュニティも必要だと話していた。
- 実際に、居酒屋、バー、近所の神社、会社のサークルとか、該当するようなコミュニティは色々ある。でも、そのコミュニティを見つけられない人もいるから、そういう問いがあるのだろう。共通の興味を持っている人をつなぐ人がいるから、コミュニティになるのでは。バーのマスターみたいな役割の人。
- そもそも理想のコミュニティとは?高校時代の友人との集まりは信頼関係がもともとあるので負荷なく入れる。0から1のパワーは大きい。自然に参加できる場所は必要。コミュニティから得るものがないと継続性がない。
- 上司、過去からの友人など関係のある人には気軽に相談できる。趣味や問題意識をもった人が集まるコミュニティがあるといい。公的な施設の稼働率が増えるといい。学校や図書館などの公的な施設と人のネットワークとの掛け算でいいコミュニティがあるのでは?
- マンションに住んでいると、会えば会釈ぐらいはするが、普段は特に関わりがない。あっても、何か問題が起こった時くらい。地域に関わるとしたら町内会とか、地元のお祭りだけど、後から来た人は入りにくい。子供連れてみにいくだけとか。男性陣は会社で疲れて寝るだけなので。奥さん経由で話をきくとか、PTAで知り合ったりするぐらいが、地域との関わり。商店街の人も知り合いだったという昔の状況とは違う。最近はインターネットの中で、顔は知らないが友達という中で育ってきており、その世代が年を重ねていくと少し心配。
- 学生寮での経験。家族未満友達以上の信頼感になったのは、テーマ型ではなく、仕方なく一緒に住んでいる中で、いろいろな問題に直面し、一緒に乗り越えてきたことが理由だと思う。コミュニティでのつながりを強くするのは、意外と面倒くささが鍵なのでは?家族がいるとコミュニティとつながりやすいが、東京は実際、寄せ集めで、子育てに悩んでいる人もいる。
- シェアハウスに住んでいて、話したくない時は自室に引込めばいいし、恋愛相談をしたい時は、みんなのところに出ればいいという感覚で、絶妙な距離感を楽しんでいる。そんな風にシェアハウスが流行っているという話をすると、昔の会社の寮もそんな感じだったとの話が合った。人と人との距離感も時代によって変わってくるのでは?
アウトプット/プロトタイピング
■プロトタイピング「どんな場があると、私たちの生き方・働き方がどう変わるだろうか?」
- 現状、お母さんたちがファミレスに集まっていたりして、ハード的な場がない。海外は競馬場がそういった役割を果たしているらしいが日本にはない。自分が貢献をしようと思っても得意技を披露する場がなかなかない。オフィスワーカーは地域と交流しようとすると昼がメインになる。散歩道や自然のあるところ等、気分転換をする場所があるといい。お寺もそんな風にふらっと立ち寄る中の1つで、行けば話を聞いてくれるぐらいの軽さだといい。
- 集える場所がない。多くは、人が集るのは同じ傾向、趣味をもっているからだが、そうではなく、無目的に集える場がいい。温泉では、体を洗うという目的はあるかもしれないが、それはメインではなくて、会話を楽しんだりする。そんな感じで、温泉ではなくとも、足湯とか、何か屋上にそんな風に目的なく人が集まれる施設があるといい。疲れている人にはアロマみたいなもので、やすらぎも得られるとか、リラックスできる場所が必要。そのためには、その場所をメンテナスする必要があって、それがお寺さんでもいいし、地域の企業が集まって、そういう場所を作ってもいいのでは?
- 子供はキーワード。職場の近くに幼稚園、保育園を探す人が増えているので、お寺とかに保育園、幼稚園があるといい。そうすると、子供を預けるお父さんやお母さんが親しめる空間ができ、周辺の方と交流できる可能性もあるのではないか。地域と職場をつなぐ場所が行きたい場所になるためには、人をひきつけるコンテンツが必要。何か、先ほどのジャズコンサートみたいなものとか、子供むけのイベントとか、そういったきっかけになるようなコンテンツ。世代を超えて人が集まるようなイベントを開催できる場ができれば、地域の人たちともつながれる可能性がある。ただ、毎回メンバーが違うとつながらないので、常にそこにいる人が介在しないと、安心や信頼にはつながらない。子供たちには、地域社会の良さを体験させたい。その体験が子どもたちを変え、変わっていく子供たちを見て、大人にもいい影響があるのではないか?
- オフィスワーカーと地域がつながる時間はお昼。社員食堂をオープンにしたり、地域の食堂連合みたいなところがあったりすると、地域を知るきっかけになるのでは?
- 企業でなくプライベートでもない第3のコミュニティがあれば、気づきや多様性が生まれる。企業にいて外に出ないと殻に閉じこもってしまいがちだから。
- 住職堂。朝ごはん、ランチ、カフェができる。マスターとなる住職がいて、ランチタイムのオフィスワーカーの話と、お茶の時間の地域の人たちの話をつなぎあわせる。イベントもたまにやるといい。歴史があったり、緑があったりする場所だと行きたくなるが、まさに、そんな場所がお寺。こういう場所があると、会社の利益などにしばられて視点が狭くなってしまわずに、社会や自分の生き方に照らして、どう働くべきかが見えてくる。そのため、その住職堂に来ると、新しい事業を起こそうとか、新しいプロジェクトをしようとか、立ち上がっていく人たちが続出するので、副題、縁起のいい食堂でもある。
- 現状の地域清掃や場所貸しのようなものは義務感があって、コミュニケーションが一方向なので続かない。オフィスワーカーにとっても面白いものでないといけない。実際の例として、西新宿では、近隣のオフィスをつなぐ活動があるそう。企業の良さを、企業が本来もっているコンテンツを生かせる場が必要。不動産や行政がそういった機能を担うことも多いが、ややこしいことになるので、もっとフラットに関われる場所がいい。企業や地域をつなげる機能は、まさにお寺ができるのでは?今日は、色々な企業の人たちが集まって何ができるかを考えたが、地域の人が集まってこういった活動をすれば、次は何をやろうことに自然につながっていくだろう。
- 企業で働いていると、地域に対してギブするということは、なかなか考えられていない。会議室の開放は手始めに考えられることの1つ。セキュリティの問題は考慮する必要があるが、会社の会議室を地域の人に使ってもらったり、逆に、オフィスワーカーがお寺で会議をしたり。企業で働いていると予定調和の部分がある。会議で発言すると責任が伴うので、タバコ部屋みたいなフリーディスカッションができない。そういった責任で発言が制約されない議論ができる場所として、お寺があり得る。住職がいるのが一つポイント。社内の信頼感の醸成にお寺さんが関わることも可能性として有りうる。
チェックアウト
・野村
企業にいると、「なんでもかんでも目的にひきつけてしか考えられない」という世界にいる。そこから、どうやって「第3の世界の視点」を取り戻せるかというアイデアが多かった。
お寺フューチャーセッションの一つの目的は、お寺側として、「お寺は未来づくりにどう貢献できるだろうか」ということだった。企業側としては、いままではお寺に関心を持ってはいなかったかもしれないが、今日のセッションで、お寺に対するニーズが実はあったということが分かった。お寺は、私たちの社会の大きなリソース。次は、お寺側が、この企業のニーズに応えられるかを考える番かもしれない。今後、新しい展開が期待できると思う。
・松本さん
フューチャーセンターの考え方を見た時に、「これはお寺じゃないか!」と思った。お寺がやるべきなのにやっていないから、しびれを切らしてフューチャーセンターが出てきたのかと思ったぐらいで、もっとお寺も活用してもらえるようにと、まずは、今回のセッションを試みた。なかなか、お寺らしさのあるあたたかいものになった。今後の展開も期待できそう。本当にありがとうございました。
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