ファシリテーターが変われば、社会が変わる
Mission
「ファシリテーターが、いま世界を変える」の第二弾。
題して、「ファシリテーターが変われば、社会が変わる」。
前半は、ファシリテーターとして様々な分野で活動するイノベーターが集い、「いま変わろうとしている社会」をいかに私たちは後押しできるか、そのために「私たち自身がどう変わらなければならないか」という社会変化の本質に迫りたいと思います。
そして後半は、イトーキのイノベーション空間SYNQAという場が、ファシリテーターによって、どんなイノベーションの可能性が開けるか?というアイデアづくりをしてみたいと思います。イトーキの社内イノベーター、戸田さんが想いを熱く語ります。良いアイデアが出れば、そのまま一緒に実行しよう!という可能性も。
インフォメーション
- 開催日時
-
2015-09-07 (Mon)
18:30 ~ 21:30 - 応募締切日時
- 2015-09-07 (Mon) 21:30
- 会場名
- イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA
- 住所
- 東京都中央区京橋3-7-1
- > google mapで表示
- 定員
- 65 人
- 参加費
- 無料
- 主催者
フューチャーセッションズ & イトーキ
メンバー
企画メンバー 3
参加者 61
Participation
- 企業、自治体、NGOなどで変革を起こそうとしている[イノベーター]の皆さん。
- 組織やセクターを越えて人と人との理解と協働を促している[ファシリテーター]の皆さん。
- 地域の課題解決に向けて人と人とをつなぎ直そうとしている[コミュニティデザイナー]の皆さん。
- その他、ファシリテーション、イノベーション、コミュニティに関心を持つ皆さん。
Description
その盛り上がりの焦点は、「世界を変える鍵を握っているのは、本当にファシリテーターなのか?」「それをファシリテーター自身が言い出すことって、どうなの?」というところにありました。
この謙虚さこそ、ファシリテーターの愛すべきところであり、不足なところだと思うのです。なぜなら、「ファシリテーターの可能性について、ファシリテーターたちは自らをあまりにも過小評価している」ということが、イノベーションのプロジェクトに長年携わってきた、私の実感だからです。
「ファシリテーターが、いま世界を変える」の第2回にあたる今回は、企業、NPO、プロボノなど様々な領域で活動するイノベーション・ファシリテーターと一緒に、組織や地域、社会を変えていくために、私たちに何ができるかを対話します。そして、ファシリテーター自身が自らのポジショニングを変えることで、社会を変えることができるのではないか、という可能性を示したいと思います。
イノベーション・ファシリテーター
野村恭彦
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ホスト・ファシリテーター
・野村恭彦(フューチャーセッションズ 代表, KIT虎ノ門大学院 教授)
・芝池玲奈(フューチャーセッションズ)
登壇ゲスト
・香川秀太さん(青山学院大学大学院ヒューマンイノベーションコース 准教授)
特別ゲスト
・イノベーション・ファシリテーターの皆さん
問いかけ人
・戸田裕昭さん(イトーキ 企画本部 経営企画部 新規事業開発チーム)
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参考図書:
(1)「イノベーション・ファシリテーター」(野村恭彦 著/プレジデント社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4833421321
(2)「越境する対話と学び」(香川秀太・青山征彦 編/新曜社)
試し読みサイト
2冊とも、この日のテーマに深く関係する書籍です。
もしよかったら、ぜひ当日ご持参ください!
★SYNQA オフィス見学ツアー(17時30分〜18時15分)
会場であるSYNQAにて、セッション開始前に【オフィス見学ツアー】を開催します!
SYNQAのクリエイティブでワクワクする空間を見学したいという方、ぜひご参加ください。
3階は、イトーキの社員の方が実際に働いているワーキングショールームになっています。
SYNQAの施設
- セッションからの発見:
社会の前提を問い直すのがイノベーション・ファシリテーターである
社会の前提を問い直すのがイノベーション・ファシリテーターである
企業、行政、NPOなど様々なセクターから約60名の方が参加され、「ファシリテーター自身が自らのポジショニングを変えることで、社会を変えることができる」可能性について深めました。
セッションは、ゲストである香川秀太さん(青山学院大学大学院ヒューマンイノベーションコース 准教授)のインスピレーショントークを起点に始まりました。キーワードの一つである「越境」とは、異質な集団が普段の領域を超えて出会うこと。越境的な学びの事例として、看護教育やNPOとコンサルのプロボノマッチングなどを、ご紹介いただきました。
香川さんからのインスピレーショントークや、特別ゲストであるイノベーション・ファシリテーターの松岡亜樹さん、竹本記子さんのストーリーテリングから「ファシリテーターは社会の前提を問い直す」というキーワードが浮かびあがり、この日のセッションを通じて発見されたのは、イノベーション・ファシリテーターが担う、以下のプロセスです。
- 社会の前提を疑う
- 社会の前提に対する問いかけを共有する
- 前提を変えるために関わりあう
そして、「社会の前提に対する問いかけを共有する」ところでは、コミュニティを超えて集まる=「越境」が求められます。このようなプロセスの結果、社会の前提を変える変化が起きてくる。それを会場全体で実感する3時間でした。
- セッションの流れ:
一人ひとりが「問い直したい社会の前提」の共有から、そのために必要なチャレンジを「変化の物語」としてプロトタイプ
ゲストの香川さん、特別ゲストのイノベーション・ファシリテーターお二人とのフィッシュボウル対話を通して、「ファシリテーターは社会の前提を問い直す」というキーワードが出てきた後、会場にいる一人ひとりが「問い直したい社会の前提」を一言ずつ共有しました。成長神話、当たり前、ビジネスの目的、編集、ワークショップの必要性など、多様な問い直したい前提が挙げられ、ここでセッションの熱量が一気に高まりました。
その後は、「問い直したい前提を押しつけ、相手に変わることを求めるのではなく、まず自分はどのように変わりたいか」という問いかけのもと、一人ひとりが「自分が変わるために必要な越境チャレンジ」を考え、グループで共有しました。最終的に、グループの中で応援したい越境チャレンジを一つ選び、その過程を「変化の物語」としてボディストーミングで演じました。全部で14の物語が生まれましたが、そのうち3つのグループに代表して前で演じていただきました。写真にあがっているアウトプットは、各グループが作成した「変化の物語」を宣伝するポスターです。会場の様子とともに、ぜひご覧ください。
- セッション参加者からのレポート
セッションに参加された3名の方から、レポートを共有していただいてので、こちらでもご紹介いたします。
お一人目は、イノベーション・ファシリテーターであり大学教員の出山実さん。大学で生徒の主体性をひきだす教育に取り組んでいらっしゃいます。
昨日はフューチャーセッション「ファシリテーターが変われば、社会が変わる」に参加してきました。
セッションのキーワードは越境する対話。越境する対話のベースは、異なる前提を乗り越えること。けれど、大抵はそれぞれの背景を理解して終わってしまう。越境する対話が回り始めるためには、異なる前提を持つ参加者が集まった場合でも、ともに前提を疑い、共有する部分を見つけ、前提を変えるために関わり合うこと。それを促すのがファシリテーターの役割だよね、とセッションプロセスの中で共有理解が生まれました。
ここまでを受けて、プロトタイピングはボディストーミング。ある課題を持つ主人公とそれを助けるイノファシが起こした奇跡とは?というテーマでした。僕は初めてやったのですが、リアルな未来シナリオ作りと言った感じで楽しかったです。参加者の皆さんがファシリテーションに大きな力があると信じているストーリーを作っていました。
イノベーションファシリテーターの役割は、既存の前提の中と外、小さい課題から大きい課題、ビジネスから社会問題など幅広いと改めて感じました。ファシリテーターがどこに問いを持つかで、ファシリテーターの役割が決まりそうです。小さくとどまらないほうが良さそうですね。
世の中をより良くしていくことを自分ゴトにしている人たち、そんな人たちと緩やかなつながりを持てることは本当に楽しいなと感じたセッションでした。
お二人目は、作業療法士でイノベーション・ファシリテーターの石田耕一さんです。
写真はフューチャーセッション「ファシリテーターが変われば社会が変わる」の開始前のもの。この後、背景がさまざまでほぼほぼ初対面の70名あまりの参加者がサークルになり、疑いたい世の中の「前提」を共有し、その前提を越えようとチャレンジする参加者のために熱を帯びた即興劇を演じることになる、とは想像がつかなかった。
70名の参加者がなげかけた前提。「お役所仕事だから仕方がない」という前提、「会社には通う」という前提、「医療と介護」という前提……。そのひとつひとつに会場は大きくうなずく。その前提が人を息苦しくさせてしまっているのならば、それを変えていく関わりをしていけば社会はよくなっていく。その行為は「越境」ということかもしれない。
「越境」。それは「普段の活動圏を越えて出会う過程」のことのようである。「越境」することで、自分の組織の素晴らしさに気づくかもしれないし、あるいは非常識だったことに気づくかもしれない。「越境」してみることは部分でなく全体がみえてくるのかもしれない。ならば、越境しないことはリスクなのではないか?それは人生、生活、そして社会を豊かにしないリスクだと思う。「越境」。それはなにも会社をやめたり、外国へ行くことだけではない。普段なんとなく違和感を感じている人に話しかけてみるアクションも越境になる。そのアクションは相手の越境を呼び起こすかもしれないし、お互いの前提の違いを乗り越えるチャンス、相互理解へのエレガントな一歩であると思った。なのでまずは自分が越境していくこと。これはイノベーションファシリテーターの重要なスピリットだと思った。
ひとりひとりの「越境」。それが社会に積み重なったとき、やがて「境」を越えなくてもいい未来が来るのかもしれない。あるいは「境」の意味というものもわかるのかもしれない。それはひとりのリーダーと名乗る人が他者と競合し、勝ち負けで社会を作っていくものとは非なるものである。なので多数決とも違う。そんなことを考えたセッションでした!
三人目は、中小企業を応援する就職の仕組みを創ろうとしている、イノベーション・ファシリテーターの山田育子さんです。
遅ればせながらだけど、月曜日に「ファシリテーターが変われば、社会は変わる」に参加しました。セッションのキーワードは「越境する対話」。最初は「なんじゃそりゃ?」と思ったけれど、我が母校・青山学院大学の香川先生や、ファシリテーター諸先輩方のトークを通じて、「イノベーションファシリテーターは、世の中が前提としていることを疑い、その矛盾をスルーせずに乗り越える!」という気づきを得て、集まった皆さんと対話し続けました。
最後は「ある課題をもつ主人公とそれを助けるイノベーションファシリテーターが起こした奇跡とは?」をテーマに、セッション冒頭からペアトークで話をしたUさんの課題を取り上げて、ボディーストーミングでプロトタイピング。初めての体験で、即興劇はめちゃくちゃだったけど(笑)、そこでファシリテーター役を演じたOさんが、「前提を乗り越えるためには、まず一番身近で大事な人から説得せよ!」と名言を残してくれました。そしてなんと!翌日Uさんから、「まず妻とちゃんと話すよ!」とメッセージが届きました!
単に楽しい対話で場で終わらさずに、対話によって得た気づきを実際に行動に移せるところまで導けるのがイノベーションファシリテーター!Uさんの気づきと実行を目の当たりにして、それを実感したセッションでした!