関係性の教育学会
セッションの目的
学会発表および参加者とのセッションをつうじて、本大会の2つのI「地域/当事者のちから」II「復興」というテーマを統合し、1) 個別発表でだされた諸問題を共有し、2) 皆で、(リスク、メリット)を踏まえて、どうするか(アクションプラン / 行動メニュー)をつくる。
開催終了
インフォメーション
- 開催日時
-
2013/06/01 (土)
10:00 ~ 17:00 - 応募締切日時
- 2013/06/01 (土) 17:00
- 会場名
- 大東文化会館
- 住所
- 東京都板橋区徳丸2-4-21
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- 定員
- 50 人
- 参加費
- 無料
- 備考
- 主催者
関係性の教育学会
対象者
教育関係者ほか、地域で活動をしている方々。
2013年度EPA(関係性の教育学会)大会・総会
報告:長岡 素彦
6月1日、東京の板橋の大東文化会館で2013年度EPA(関係性の教育学会)大会・総会が行われた。
「関係性の教育学(Engaged Pedagogy)」は、パウロ・フレイレ、ベル・フックスによって提唱された教授法(教育学)から発展した関係性を基本において教育を考えるもので、関係性の教育学会は学者だけではなく、翻訳家、学生、世界各国で様々な活動をしている人々が参加し、教育における関係性について考え、実践していくものである。
関係性の教育学会 http://epajapan.jimdo.com/
全体テーマ「よりよい社会を目指す教育をすすめるには」として午前は実践・事例・研究発表が行われ、午後は第2部:フューチャー・セッション・朗読を行った。
午前は実践・事例・研究発表では、鈴木祥夫(元作新学院高等学校教諭)の「マンガ・アニメ・ゲーム・映画を用いた高等学校授業の実施報告」、二宮公子(高校講師) の「教師のメッセージにこたえた生徒の作文にみる高校生の実状」、山西 敏博(小山工業高等専門学校)の「『コーチング理論(認知心理学)』にもとづいた『絵本セラピー』―童心にかえって、明日からの活力をわが手に―」、冨田 道子(大学非常勤講師)の「大学における「セクソロジー」の教育実践―学生の意識・行動に着目して―」の発表が行われた。
安部 美紀(宇都宮大学大学院教育学研究科)の「応急仮設住宅集会所におけるコミュニティ支援のあり方について」、 長岡素彦(地域連携プラットフォーム)の「共生的社会関係を共に築く学びーESDと復興」、田尻 敦子(大東文化大学) の「未来の共同体を想像する教育方法―ライフデザインとしての平和学習」、David A. Hough "Engaging in Social Justice Means Accounting for All Our Relations"、井口剛の「現代における個人の欲求充足を考える」の発表が行われた。
また、発表予定の無かった参加者による報告も行われた。
午後は、朗読として野々宮卯妙(現代朗読協会)、アコーディオン(浅川共子)による被災地の詩や文章のパフォーマンスが行われた。語られたのはチェルノブイリ事故を聞いて福島で起きた場合を描いた「神隠しされた街」という詩を1991年に発表した福島県南相馬市の詩人若松丈太郎の「ひとのあかし」、福島県福島市 の当時小学5年生の女の子の「わたしは、ふつうの子供を産めますか? 何さいまで生きられますか?」、大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の当時6年生 只野哲也の「ぼくが世界中の人たちに伝えたいこと」である。
第2部のフューチャー・セッション「持続可能なプランをつくる」では、大会の2つのテーマ「地域/当事者のちから」、「復興」というテーマを統合し、 個別発表でだされた諸問題を共有し、リスク、メリットを踏まえて、どうするか(アクションプラン / 行動メニュー)をつくった。
まず、ファシリテーターの長岡素彦より、フューチャー・センター、フューチャー・セッションの説明と進め方がレクチャーされ、午前の発表も参考に、個人とグループで「今起きていること」「それはなぜか」が共有された。
その後は、インプット・シェアしたうちの重要な実践テーマである「高校生などの福島へのボランティアツアーをどうするか」、「こどもの問題や貧困をどうするか」の2つに分かれて論議した。
それぞれのテーマで「どうしたらいいか」「それをどうすすめるか」が論議された。
「高校生などの福島へのボランティアツアーをどうするか」では、必要性と安全性などが激しく論議された結果、ボランティアツアーより、福島の高校生が自分たちの地域の未来を決定できるにはどうしたらいいか、また、他県の高校生と福島の高校生が交流して未来を考える相互的な論議の場の設定が必要などの論議が行われた。
「こどもの問題や貧困」については、親の貧困や態度、経済構造についての論議から、その原因は経済の問題だけでなく、社会について知らない、知りたくない、知るのが怖いなどの「知らない」ことにもあるのではということになった。また、社会的に発言するといろいろと差し障りがあるという現状やそのための自己規制も問題である。
これら「知らないー発言しない」構造がもの言わぬワカモノ・こども生み出し、問題(いじめも含めた)を作り出している部分もあるので、これを解決するために「知るー発言する」ことができるようになるための改革方法や教育・学校教育での具体策が論じられた。
ファイナルセッションでは、福島のこども・ワカモノ、他の地域のこども・ワカモノに共通した問題と個別の問題を「どうしたらいいか」「それをどうすすめるか」が論議され、「知るー発言する」ことができるようになるプランが描かれた。
最後に今後の学会の予定として、インドネシアのアチェの女性差別の中で「知るー発言する」平和女性活動家を招くプログラムや学生のフォーラムなどの発表があった。
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