第1回「私たちの未来、大槌の未来」フューチャーセッション
セッションの目的
1回目のテーマ
「私たちにとって、大槌にとって、 大切な『問い』をみんなで つくりあげよう」
良い『問い』は、誰もが思わず考えたくなる好奇心を刺激し、たくさんのアイデアを生み出します。想いのこもった大切な『問い』は、人の心を動かします。
開催終了
インフォメーション
- 開催日時
-
2012/11/23 (金)
14:00 ~ 18:00 - 応募締切日時
- 2012/11/23 (金) 18:00
- 会場名
- 中央公民館 第1会議室
- 住所
- 小槌第32地割126
- > google mapで表示
- 定員
- 40 人
- 参加費
- 無料
- 主催者
一般社団法人 おらが大槌夢広場
対象者
大槌町住民とそのサポーター
詳細説明
「私たちの未来、大槌の未来」フューチャーセッションは、町民が主体となって、行政、NPO、他地域サポーターとともに、大槌の未来を創るためのプロセスを提供します。全4回のセッションを通して、みんなで夢を共有し、テーマを出すところから始め、数多くのアイデアを試作し、仕組み化するところまでを目標に進めて行きます。
この日の「夢会議(フューチャーセッション)」には、大槌の地元の行政、団体、NPO、他地域から来て現地で活動しているNPO、そして東京や仙台などの他地域や海外からの参加者も含め、40人余りが参加しました。きわめて多様性の高いメンバーが集い、そこにお互いを尊重し合うあたたかい雰囲気と、傾聴し合う対話が加わり、4時間という時間があっという間に過ぎました。最後のチーム発表には、それぞれの立場で貢献できることを「やりたい!」という想いがあふれる、素晴らしい盛り上がりがありました。
■対話のプロセス
未来に向けた対話は、次の6つのステップで進みました。簡単に振り返ってみましょう。
- ペアでの相互インタビュー(今のところに住んで何年? そこの一番好きなところは?)で場を温めました。
- 4人ずつ9つのテーブルに分かれ、「この1ヶ月に感じた、これなんとかならないかなぁ」を共有しました。
- 9つのテーブルから代表が1名ずつ出て、9人で輪になって、それぞれで話されたことを持ち寄りました。
- そのギャップをすべてファシリテーターが付箋に書き取り、ホワイトボードに貼り出したものに対して、全員で3票ずつの投票をしました。
- そこから9つのテーマを作り、参加者全員が自分の希望のテーマに分かれてチームをつくりました。
- 各チームで「そのテーマをやりたい理由」と「最初の一歩の取り組み」を検討して発表しました。
■この1ヶ月間で感じた、「これなんとかならないかなぁ=ギャップ」
1位:住民の意識・対話を変えたい (36票)
- 住民が中心になって判断する仕組みが欲しい(10)
- 復興バブル後、生き残るために何ができるか(7)
- 銭湯などを実現させたいが中ぶらりんに(5)
- 大槌町の人たち自身で一歩を踏み出すことが必要(4)
- 小学校の取り壊し計画など、住民同士で対話する場 (4)
- 住民の意識を変えていきたい(3)
- 対話の場に住民が参加しづらい(単語がわからない)(3)
2位:人口流出を食い止めたい (24票)
- 地元にもっと人が残るようにしたい(18)
- 人口流出を泊めたい(特に若い人)(6)
3位:交通の便を良くしたい (14票)
- 交通が不便(4)
- 道がでこぼこで不便(4)
- 手を上げて自由に乗れるバスが欲しい(2)
- 大槌町は広いので巡回バスを作りたい(2)
- 旧大槌病院前のバス停が使われていない(1)
- バスの本数を増やしたい(外から来る人のためにも)(1)
4位:大槌の人のネットワークを作りたい(10票)
- 大槌町の人のネットワークを広げたい(6)
- 大槌町の人のエネルギーがたくさんあるがもっと形にならないか(4)
5位:情報を内外に向けて発信したい (9票)
- 大槌町の人にもっと情報を提供できるのではないか(5)
- 震災情報が東京まで届かない(情報はたくさんある)(4)
6位:遊び場を増やしたい (8票)
- 子ども達が遊ぶ場が少ない(5)
- 近くに公園がない(3)
7位:ボランティアと継続的に関わりたい (6票)
- 外部ボランティアには、往復の交通費が高い(5)
- ボランティアステーションがあると良いのでは(1)
8位:仕事の場を作りたい (4票)
- 就労の場を確保したい(安定できるように)(2)
- 結婚後の女性の働く場を増やしたい(2)
■ギャップを解決するための9つのプロジェクト
この1ヶ月間で感じた「これなんとかならないかなぁ=ギャップ」のベスト8を解決する為に、次の9つのプロジェクトが立ち上がりました。下記は、各プロジェクト・メンバーが検討した「最初の一歩」です。次回以降のセッションで、これらのプロジェクトを発展させると同時に、新プロジェクトも募集していきます。
プロジェクト1:住民の対話の場をつくる
- お互いを知る:住民主体の対話の場をつくり、従来から合った伝統、横のつながりを取り戻したい。
- もっと仲良くなる:対話の場に積極的に飛び込んでいく。顔の見える関係を作っていく。新しい関係性をつくり、自治のネットワークを作ることが大事。そのための、うまい場をセッティングしていきたい。
- 大槌のストーリーを皆で創る:大槌町にはいろいろな資源がある。自分たちがこうありたいと素直に感じることを大切にする。
プロジェクト2:住民の意識を変える機会をつくる
- 花をきっかけとしたコミュニティ作り:人はわくわくするところには行きたくなる。花は年齢性別関係なく嫌いな人は少ないので、花を通した活動が良いのではないか。花には不思議な力があり、かたくなな人も引きつける魅力が花にはある。そこで初めて対話につながり、新たな意識が生まれる。そんな場がどんどんできると良い。コミュニティ作りのきっかけになる。
- 対話の場に出るきっかけを作る:祭りなどを含めて場をたくさんつくる。自発的な人が良くて、他力な人が悪いということではなく、皆が平等に対話できる場をつくる。 今年外部支援で、ある祭りが復活した。それをきっかけに外部の人を巻き込んで、毎週、舞を練習して文化を継承しようという運動が起きてきた。伝統文化を守るという意識が、外からの刺激で与えられた。
プロジェクト3:人口流出を食い止めたい
- 若者がいろいろ学べる場をつくる:大槌町は高齢者が31%と多い。先輩や同級生は都会に行って若者が少ない。若者が残って何ができるか考えたい。たとえば、漁業でも農業でも若者がすんなり入って学べる場があれば、大槌町に残るのではないか。
- 皆で大槌町を盛り上げる:楽しいコトは若者を引きつける。若い人たちと一緒になってわくわくする。
- 学んだことを活かせる町になる: 東京などの大学で学んだことを大槌町で活かしたいという人は多い。学んだことを最大限に活かせる町の仕組みが必要だと思う。
プロジェクト4:交通の便を良くしたい
動くときに交通手段を利用できるのは人の権利ではないか。クルマが運転できない人でも安心して移動できること。これができないと安心して住めない。
- フード付きの自転車:バスがなくても自由に移動できるのでは。
- 人力のタクシー:面白いし、仕事と交通が両立できる。
- 超快適なバス停: バスの本数を増やすのはお金の問題で難しい。バス停が快適だったらバスを待つ時間が気にならず、利用する気になるのではないか。また、コンビニの目の前にバス停があれば便利で良いのではないか。
プロジェクト5:大槌の人のネットワークを作りたい
対話に参加する人はいつもだいたい同じであり、被害を受けたエリアの方が中心。しかし大槌町は広い。今は仮設住宅問題でネットワークがばらばらになっており、おじいちゃんやおばあちゃんには何か特別なことがないと会えない。離ればなれになった大槌町の人たちに、正しい情報(行政の情報なども含めて)をしっかり伝えられるネットワークが必要。
- もともと住んでいた地区ごとに集まれる場の提供:住民は元に住んでいた場所に戻れる予定なので、仮設住宅の人はネットワークを作らなくても良いという意識がある。毎週水曜の夜などに、元住んでいた場所の人たちとSkypeで情報交換するなど、リアルな場所とネットを活用する。震災前には文化があった。しかし今は継続が難しい。地区ごとのネットワークが強い。地区ごとの良さを出してもらうために、自分たちができることをまず出してもらう。
- 母ちゃんネットワークの構築:ネットワークの肝は母ちゃん。どこの地区も母ちゃんが強い。母ちゃんは元の場所に戻りたいと特に思っていない。母ちゃんが家の中のリーダー。母ちゃん同士は地区を越えて対話でき、すぐに仲良くなる。母ちゃん同士のネットワークを作り、交流させることで、まちの意思決定がスムーズになるのではないか。
- 食でつなぐレストランの開設:東京や都市部で東北の食を紹介し、大槌町の応援団になってもらう。
プロジェクト6:情報を内外に向けて発信したい
東京にいる人間は、現地の人が何を欲しているのか本当のところわからない。医療が足りない、防犯が足りないなどがわからない。
- 現地の人のニーズを「見える化」するポータルをつくる:顔が見える情報をポータルに載せる。
- まずは 1回来てもらい、ファンになってもらってリピーターを増やす:地元の人と関わるとリピーターになる確率がぐんと上がる。ポータルに顔が見える情報を載せると、相乗効果があるのではないか。
プロジェクト7:遊び場を増やしたい
子ども達の遊び場が少ないのではないか。スクールバスなどの影響で子どもの体力が低下しているのではないか。これからの街作りでは、未来を作る子ども達のことを考えたい。交流し、地元を知ることができる遊び場を通じて、子ども達が街作りに関わることが大事ではないか。
- 子ども達自身で創造できる遊び場を作る:学校のすぐ近くに遊ぶ場所があると良い。大人から与えられるのではなく、子ども達自身が絵に描いて具現化できるフィールドがあると面白いのではないか。
- 小学校でのクラブ活動:スクールバスの時間を遅くし、帰る前にクラブ活動ができたら面白い。
- ロッククライミングで遊べる場を作る:ロッククライミングのように縦で遊ぶ場があれば、スペース的に節約できて良いのではないか。
- まずは、子どもの遊び場を作りたいという人たちとの対話からスタートする。
プロジェクト8:ボランティアと継続的に関わりたい
住民もボランティの人と一緒に関わりたいが、どう関わっていいかわからない。継続的に関わっていきたいと思っている。現地の高校生が大槌のために何かできないかというプロジェクトもあり、外部の人と連携して一緒にやっていきたい。
- ボランティアという言葉をなくし、新しい言葉を作る:ボランティアは、助けられる側と助ける側を分離する言葉。同じ目線で当事者意識を持って共に行動する。
- 現地の人と外の人をつなげるボランティアステーションを作る。
- 現地の人と交流しながら学べるツアー:ツアーと言って良いかはまだわからないが、現地の人とボランティアの両者に利益があるようにしたい。例えば、コラボスクールの高校生が、大槌町で今やりたいことを一緒に実現できるツアーなど。
プロジェクト9:仕事の場を作りたい
踏み出すきっかけがない。人口流出は働く場のなさに起因しているのではないか。仮設住宅以外の働く場が求められている。 2つの対象層があるのではないか。震災後いち早く事業を立ち上げてがんばっている人たちと、今離職している人たち。雇用を創出する人と仕事を欲している人のマッチングができるのではないか。
- Web通販&サイト作成支援: いち早く立ち上がった人たちは、Webサイトの立ち上げに苦労している。創造的な取り組みを素早く実施してもらうためにも、こういったことを簡単にクリアしてもらえるようにする。
- 起業体験ができる場を作る:誰かに雇用してもらうという選択肢しかないと思い込んでいるだけかもしれない。一から事業を立ち上げて成功体験を積める場があると良いのではないか。
- コワーキングを作る:フューチャーセンターのように、集まった人たちでプロジェクトを立ち上げ、支援していけるようなコワーキングなどができないか。
- まずは実際のニーズを拾うところからスタートする。
■「大切な問い」はつながっている:
〜9つのプロジェクトが連携することによる相乗効果
9つのプロジェクトは、ばらばらではなく、お互いにつながり合っています。これらの要素が、一つのつながりとして理解できれば、各プロジェクトがやるべきことが見えてくるでしょう。
- 人口流出を食い止めるためには、働く場と子育ての場が必要であり、それに加えて、住民主体のまちづくりが実現する必要があるのではないでしょうか。
- そのためには、住民の意識が変わり、積極的な対話の場が広がらなければなりません。
- その前提として、大槌の人の間にも、ボランティアとの間にも、ネットワークがなければなりません。
- それらを実現するためのベースとして、情報の流通、交通の流通が整備されることが大切だと考えられます。バスを増やしたりすることはすぐにはできないかもしれませんが、それぞれのニーズが可視化されることで、運用でカバーできることは多いかもしれません。
■有識者のコメント(ボブ・スティルガー氏)
11/23はとても良いスタートを切れたのではないでしょうか。新しいものが生まれるさまざまな問い(領域)が生まれてきました。次に何をするかはとても重要であり、11/23のエネルギーを他の人々にどう伝えていくかはとても大事なことです。
アイデアの種に、多くの人を招き入れ、コミュニティを作っていきましょう。アイデアだけではなく、そこにあるエネルギーを大事にして、新しい解決策が生まれることをお互い助けていきましょう。各グループが個別で動くのではなく、毎月各グループが何をやっているか、お互いにわかるようにすることが大事です。個々ではなく、連携して全体のことをやっていると感じていきましょう。
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