東北から始まるイノベーションの未来
Mission
NPO法人ETIC.では、2年前から右腕派遣プログラムを実施しており、東北のリーダーや起業家を応援するため80プロジェクトに150名以上、リーダーの「右腕」となる人材を派遣してきました。(http://michinokushigoto.jp/)
また、右腕派遣期間が終了した社会人の半数近くが同じプロジェクトでの継続勤務や新規に創業して東北に残り活動を継続しています。
更にETIC.では、過去7回「右腕」の学びの場を開催してきた他、2013年2月23日には東北で活躍するリーダーやプロジェクトスタッフ、これから何か取り組んでみたい人等を交えた200名で行うフューチャーセッション(「みちのく仕掛け人市2013」内)を仙台で開催しました。
東北の被災地で活躍している彼ら・彼女らはとても成長する機会が多く、実際にたくさんの学びを得ています。
各地でさまざまな動きが起こり、地域に新たな知見がたくさん蓄積されてきました。
それらの知見を、ETIC.だけのネットワークに閉じたものにせず、より多くの方の成長を加速させる学びあいのコミュニティとして、仕組み化していくことを考えています。
インフォメーション
- 開催日時
-
2013-06-07 (Fri)
10:00 ~ 12:00 - 応募締切日時
- 2013-06-07 (Fri) 12:00
- 会場名
- NPO法人ETIC.渋谷オフィス セミナールーム
- 住所
- 渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル4階
- > google mapで表示
- 定員
- 10 人
- 参加費
- 無料
- Information note
定員は10人ですが、それ以外にもゲストをおよびします。
- 主催者
NPO法人ETIC.
Participation
セッションの目的に共感する人であれば誰でも可。
Description
今回のセッションテーマは「東北のイノベーションの未来」です。
311以降、東北から立ち上がった数多くの起業家・リーダーがいます。また同時に、地域内外の多くの若者が被災地に入り、地域の方々とともに、事業や地域の担い手として活躍してきました。そのような、東北の起業家や地域のリーダー、震災復興に取り組んでいるスタッフ、事業創造の現場で頑張っているスタッフ、その他、震災後に飛び込んでいった若者たち(インターンシップ・復興支援員、地域おこし協力隊、長期ボランティア、ETIC.右腕など)が相互に学び合う「生態系」をいかにつくることができるか、具体的な仕組みづくりのために、是非、皆さんの知恵や経験をお貸しください。
東北からはじまるイノベーションの未来
■セッションの目的
「東北でリーダー、右腕、復興支援員、インターンなどが相互に学び合う生態系をいかにつくるか?」をテーマに、震災から3年目を迎えた東北における、現地と支援の相互関係についてディスカッションを行いました。
今回のセッションでは、震災復興プロジェクトチームメンバーに加え、実際に現地で支援活動を続けてきた外部のゲストも交えて、活発なディスカッションが行われました。アイデアを可視化するため、イラストを用いた様々な工夫がなされ、以下のステップで建設的な議論が行われました。
1. アイスブレーク:全体で問題意識の共有
2.問いに対するグループごとのディスカッション
①学びの場・生態系を作っていく中で、どんな可能性があるのか。 どんな課題があるのか。
②今後どのように仕掛けていけるか。
3.全体共有
4.テーマの落とし込み、3チームに分かれて各テーマについてディスカッション
①右腕が一年でどういった力を身につけることができるのか。
②右腕を点火装置として、システム全体を考えてローカルチェンジをもたらすために我々がどう貢献していけるか。
③各地域で行われていること、地域同士をどう結び付けてシステム変容につなげるか。
5.チェックアウト
■進行2の問いに対するグループごとのディスカッションを振り返ってみます。
チームA:
地域の人は、新しい価値観を学ぶ人、将来的に活躍できる人材、かつ一年だけでなく5年10年ともにやってくれる人を必要としている。そうした人たちが新しい価値観へシフトしていくための能力を身につけられるといい。また企業に復帰するのも、東北に残るのもありだが、一年行くとこういう能力が身に付く、という明確な情報が必要なのではないか。いればいるほど新たなリーダーシップが培われ、活動を終えた後、企業から評価されるようなプログラムが必要である。ESD(Education fro Sustainable Development)“持続可能な開発のための教育”という概念があるが、これと右腕の活動をつなげたら違う展開があるのではないか。
チームB:
福島には昔に戻そうというより新しいものを作ろうと考える人が多いと感じる。またイノベーター、アーリーアダプター、こども、主婦、一般の人々といったフェーズがあるが、それぞれを切り離してはならない。
意識の変容、我々が前提としているもの自体を変えていく必要がある。常に新しいチェンジはローカルで起こる。そのチェンジをシステム全体で考えていく。ローカル同士がつながると、大きなシステムチェンジを起こす可能性がある。
チームC:
課題は、相談できる仲間はどこにいるかということ、リソースの連携ができておらず、企業の入り方が不明確であること。点と点がつながってコミュニティとして連携した組織があれば、そこに企業が入りやすい。それには民間だけでなく行政の介入も必要である。東北に関わりたい企業もたくさんあるが目的がさまざまで、持続的に関わるための形を模索中である。
右腕の派遣だけでは真の東北復興につながらない。重要なのは右腕のサポートのみならず、自治体、組長と連動した動きである。大手企業のリソース(人材・お金)をどう巻き込んでいくかも大切。
■続いて、進行2のディスカッション、全体共有から3つの問いを導き、その問いについてグループごとにディスカッションを行いました。
問い① 右腕自身の成長:
「右腕が一年でどういった力を身に付けることができるのか」
関係者やメンターと振り返ることで、学びの確認をすることは可能である。事前にリーダーと話し合って、プロジェクトの中でどういう人材ならどういう成果が生まれるという問題意識をシェアしてからマッチングを行うことが、右腕自身の成長にも関係する。
また、右腕が参画するリーダー、チーム、コミュニティにも何らかの学びがあり、ともに成長していくことを目指したい。右腕がいなくなることで地域の成長が止まるのは、サステナビリティではない。「共に育つ」ということがキーワードになる。
問い② 右腕が関わるローカルコミュニティの変容
「右腕を点火装置として、システム全体を考えてローカルチェンジをもたらすために我々がどう貢献していけるか」
集落と行政の間の課題解決を応援するシステム作りに成功している事例がある。また、ハブとなる組織を中心に、地域内での横の連携がうまくできている事例もある。このような構造が生まれている地域に複数名の右腕やインターンを派遣することで、彼らを触媒として、受け入れ先同士が学び合う環境を作ることもできるのではないか。
コミュニティ単位の状況を把握し、そこに応じた学びの場を作っていきたい。地域の状況を可視化して他のコミュニティに伝えていくことも、我々の仕事である。
問い③ システム全体の変容
「各地域で行われていること、地域同士をどう結びつけてシステム変容 につなげるか」
今までいろいろな地域に人が派遣されているが、個人にできること、地域にできることには限界がある。常に問い続ける、学び続ける姿勢が大事である。コミュニティの中心に問いを置き、私たちは今ここで何を学び続けているのかを常に問い続ける。LCL(learning centered learning)という概念。行政を中心に置くのではなく、中心に置くのは「学び」。また、大企業もこのシステムの一部にいることを念頭におくべきである。自分たちがシステムの一部としてどんな価値を提供できるのか、という企業の問いに対してエティックが貢献できるのではないか。さらに、CSRとビジネスのギャップを統合すべきである。復興という枠組みでなく、システムの一部としてどういった価値提供ができるか考える場を設け、LCLを基盤に企業がシステムの一部となっていけるよう促していくことが重要ではないか。
■セッションを終えて、各々が新しいアイデア、学びを得ることができました。
・エティックの活動に非常に共感している。エティックの活動が世の中を変えるきっかけになるといい。
・イラストが考えるきっかけとなってよかった。企業で構成されているのは社員であるので、社員がどのようにこのシステムに関わっていくかを考えるべきである。
・グループでこういった問いについて話し合うのはすばらしいことだ。私たちは混沌の中に生きていて今後もその混沌は増すだろう。話すことによってその混沌の度合いが減る訳ではないが、自分たちの次のステップを見つけるにあたってとても重要な場だと思う。
・コミュニティをどう育てていくべきかに対し、多くのヒントがあった。既存の行政とのリソースをうまく使いつつ、もう少し大きなリソースを使っていきたい。
・個人的に、意識の変化については子育てを通して考えるようになった。システムの変容をどう実現していくかが課題だと思う。
・内容が東北のみならず日本の中規模都市、地方にも応用できるトピックであったと思う。東北の現状を可視化し東北以外の地域にも用いることができるはずだ。この議論をアウトプット、還元していく形で関わっていきたい。
・緊急支援から始まったモデルは少しずつ変化しているが、新しい価値観を作る中で、エティックの役割が変わっていくべきであり、その役割が明確に見えてよかった。
・右腕が何を学べるか、というのは真の問いではなく、プログラム自体の意味、エティックの想いなど本来大切にすべきものが見えていなかったと気づいた。立ち位置を同じ場所におかず、立ち返りたい。
・地域、意識の変容に興味があった。自分が普段関心をもっているところが違う分野の話し合いをして、エティックとして右腕に何が提供できているのか、自分がどう貢献できているのかなどに改めて考えることができた。
・行政、市民、NPOが共生し共に学び合っていくシステム作りが非常に大切である。学びを中心にするという今日のディスカスは非常に参考になった。
・結果が必ず出るという保証のある世界ではない。イノベーションは地域が生む、我々が生むに関わらず、その姿勢を忘れないことが大事である。新しいものを作り上げていく、明るい未来を描いてどう進んでいくか、右腕が成長するのはもちろんわれわれと地域の人もうまく影響し合って連携していくことが大事だと考える。
・自分たちも、主催者ではなくシステムの一部となる。学びを中心にするというキーワードを得ることができた。私たち自身が学び続ける姿勢が重要であると改めて認識することができた。
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